“攻め過ぎ”のリスクを考えた戦いを 敦賀信人氏がカーリング男子を解説

構成:スポーツナビ

国内で切磋琢磨し、レベルの底上げを

国内のレベル底上げで、4年後の北京ではさらに上の順位を目指したい 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

――今回男子は長野五輪以来、20年ぶりの出場となったわけですが、その中で4勝を挙げました。日本チームの良かった点はどんなところでしょうか?

 今まで苦手意識があった(第5戦の)米国に対してコンシードで勝利しましたが、あの試合は日本にとって強いゲームができたと思います。(第8戦の)デンマーク戦でも完ぺきな試合をしていましたので、全員の力を発揮できた時は、苦手な相手に対しても勝利できました。自分たちのリズムで戦え、自分たちのショットで勝てました。ですので、全員のショットがそろった時には強い戦いができます。

 ただ全員が全員、100パーセントに近い戦いは毎回できるわけではありません。もし1人か2人の調子が悪い時に、どれだけ良いエンドの組み立て、良い試合ができるかだと思います。

 最後の韓国戦ではどちらかというと山口剛史選手の調子が良くありませんでした。山口選手は彼の調子が良いとチームのパフォーマンスも良くなるムードメーカーの役割を果たしていて、チームに与える影響も大きいので、彼の調子が悪い時に誰がカバーをできるか。誰が声かけをできるか。ですのでどちらかと言うと、チームのムードは暗かったのかなと思います。

 対して韓国は、タイブレーク進出の可能性はなかったのですが、それでも地元開催で勝利で終わりたいという気持ちもあったと思いますし、日本に勝てば直接対決の結果で順位が上になるということも分かっていました。そういうこともあり、より日本に対して「勝ちたい」という思いが強かったですね。そういう気持ちの面でも、韓国には負けていたのかなと思います。

――男子チームはこれで試合を終え、次は4年後の北京五輪を目指すことになります。4年後に向けて強化していくために必要なことは?

 ここ数年、たくさんの世界大会や長野合宿で強豪チームと戦って経験を積んできたことで、ここまで強くなったと思います。逆に国内のチームも彼らに勝てば、五輪だったり、世界の国に通用するということが分かったと思います。

 今後は国内でSC軽井沢と同等に戦えるチームが2チーム、3チームと出てくることで、国内から切磋琢磨(せっさたくま)しないといけないと思います。そうでないと、やはり次の北京も同じような結果を繰り返してしまうでしょう。ですので、まずは国内でしのぎを削る環境になって、日本の力の底上げすることでレベルを上げていってほしいです。

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