競技の人気を高めるために必要なこと 【対談】両角友佑×小塚崇彦 後編

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解説のときに心掛けていること

競技からは離れたが、小塚さんは現在アイスショーで演技を披露している。そのため練習も日常的に行っているそうだ 【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

――お互いに聞いてみたいことはありますか?

両角 競技からは離れましたが、フィギュアスケートを滑りたいなと思うことはありますか?

小塚 アイスショーに出ているので今も週に4、5回は練習をします。基本的には普段から滑っているので、他のところで滑りたいとはならないのですが、東京へ行くと屋外のリンクがあって、そこで友達と滑るというのはけっこう好きです。全然滑ったことがない人に一緒にスケートをやってもらい、「こんなにできるんだ」と言ってもらうのがうれしい(笑)。「教えてもらうことでこんなにできるんだ」と思ってもらうのがすごくうれしいです。このような普及活動というのが今の僕のベースになっていて、いろいろな人にスケートリンク、氷の上に乗ってもらうということからスタートしています。

両角 時々、大会の解説もされていますが、その大会以外の試合も多く見ているのですか?

小塚 ニュースの解説のときはその試合だけを見ています。その上で、前後や時期を加味した上で、「この選手ならこれくらいで調子を上げてくるだろうから、ピークを持ってくるのはこのあたりだろうなと考えて、今この調子でこのあたりにきているから、将来的にはこの試合でこのように合わせてくるのではないでしょうか」と話をする感じですね。技術的なことを言うと、そのときの選手の状態、例えば「今日はジャンプの軸が左にずれていたから失敗しました」という話になります。試合のときは力が入っていますが、力が入ると軸が絶対に起き上がってきます。それは選手経験者にしか分からないので、そのような話を僕はするようにします。

カーリングの良いところは「できる」こと

カーリングの良いところは「できる」ことだと両角(左)は語る。フィギュアスケートについては「ジャンプが怖い」ため、自分にはできないと笑った 【写真:築田純】

小塚 僕からも質問です。スケートはやったことありますか?

両角 あります。僕が小学生のころ、軽井沢ではスピードスケートが盛んだったんですよ。だから僕は長い刃でしか滑ったことがなかった。ここ(軽井沢アイスアリーナ)のレンタルに、フィギュアスケートの靴があるので滑ってみたのですが、刃の前にあるギザギザが感覚的に慣れなくて、毎回つまずいてしまうんですよね(笑)。前重心の癖があるのか、滑っているといつも「ガッ」となってしまいます。

小塚 フィギュアは前と後ろにしか進まないので、一枚刃に慣れてしまえば簡単だと思います。カーリングはどこにでも行ってしまいますよね。右に行ってしまったら左に行こうとしても行けない。ただ、やっていて面白い。あそこの円に入れるというのが楽しいです。

両角 カーリングの良いところは「できる」ということだと思います。円の中心は誰でも狙えるけど、ジャンプはできない。「かっこいい」と思っても、トリプルアクセルなんて100パーセント無理じゃないですか。カーリングは真ん中の円に入れるのは難しいけど、可能性はゼロじゃない。僕たちは2回転ジャンプすらできないですから。そういう意味ではカーリングの方が楽に楽しさを味わえるかなと思います。

――カーリングはまぐれでハウスに入るかもしれませんが、トリプルアクセルはまぐれでもできないですよね。

両角 正直、ジャンプは怖いですよ(笑)。

小塚 まぐれでできたとしても、その後の体は保障できません(笑)。ちなみにパラリンピック競技のボッチャはやったことありますか?

両角 あります。

小塚 カーリングの選手がボッチャをやると、普通の人と違う戦略的を立てるものですか?

両角 どうでしょうね。でもボッチャは、中心を当ててずらせる。とはいえ、そこまで考えてはやらなかったです。

小塚 円の中心を狙って何個残すかという、基本的なルールは一緒じゃないですか。中心がずれるというのはあるのですが、カーリング選手が本気でボッチャをやったら絶対に強いだろうなと思いました。

両角 新しい戦略を思いついたりするかも(笑)。

――最後に両角選手から五輪への意気込みをお願いします。

両角 男子と女子が一緒に出る五輪は長野大会に続いて2回目ですが、女子の試合を見ていた人たちが、男子も見てみようかなと思ってもらえるチャンスだと思います。ソチ五輪の最終予選で僕たちは負けて、前回の五輪に出られず、そこから4年間ここまで練習してきました。ソチのときは「出よう」と思って活動をしてだめだったのですが、今回は「出よう」プラス「表彰台を狙えるところまで、この4年間で自分たちの力を上げよう」と練習してきたので、技術的にもチームのコミュニケーションも上がってきています。個人とチームの力が両方上がってきており、表彰台を狙えるだけの力をつけてきたつもりなので、予選から自分たちらしい作戦で、最高のパフォーマンスを出して、そういう結果を勝ち取りたいと思っています。

(取材・文:大橋護良/スポーツナビ)

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