泥臭く“結果”にこだわる堂安律 若手がしのぎを削るオランダで奮闘中

中田徹

多くの若い選手がしのぎを削るエールディビジ

パトリック・クライファートの息子、ジャスティンはその才能でアヤックスのファンを虜にしている 【Getty Images】

 エールディビジは多くのタレントがしのぎを削るリーグだ。

「他の選手には負けていられないです。僕が一番見るのは結果です。僕は今季、カップ戦を含めて5点取っています。ヘーレンフェーンの右サイドでプレーしているレアル・マドリーから来た選手(19歳のマルティン・ウーデゴール)の得点を気にしてみたりしているんですが、まだ1点しか取っていないので『勝ってるわ』と(笑)。そういうのをちょっと意識しています」

 元オランダ代表FWパトリック・クライファートの息子、ジャスティン(18)はアヤックスサポーターをとりこにしている。

「俺と同じ歳ですよね(実際は1つ下)。あれはすごい。自分を知っているというか。ただ突っ込むだけじゃなく、賢い選手で能力も高いです。アヤックスは周りの選手もすごいので、良いポジションにいて点を取ったりもしています。それも彼のすごさ。

 僕もガンバ(大阪)にいましたから、そういうすごい選手の中で点を取らせてもらっていたということも、正直言ってありました。だから、こっちに来て中堅のチームの難しさも感じています。自分が変化していかないといけない。そしてマヒみたいなプレーをしないと、やっぱり注目されて上に行けないので。やるしかないと思います」

堂安が感じるG大阪とオランダのクラブとの違い

育成に定評のあるG大阪とオランダクラブの違いとは? 【写真:アフロスポーツ】

 G大阪も育成で知られるクラブだ。オランダとの違いは何だろうか。

「フローニンゲンの方がすぐに(若手を)使います。オランダは悪いプレーを探さないというか。ガンバで若い選手が出てきたら、少し悪かったら次の試合で替えられることもありますけれど、こっちは悪いプレー(を見る)よりも、いいプレーが1、2回続けばそこを評価されて、次の試合でまた期待して使ってもらえる。

 オランダはそういう選手を使おうという文化が感じられます。ガンバではシビアに見られていた感じがします。僕もいろいろな課題を与えられました」

 見方を変えると、オランダでプレーする以上、自分で課題を見つけて改善する姿勢が必要になるということだろうか。

「僕は人と話をすることが好きなんです。誰かの話をよく聞いて、自分もそれを課題だと感じたら、思ったことはすぐに(行動を起こす)。杉本龍勇さん(トレーナー)だったり、誰かを通じてプロの人に出会えるので、そういう人から聞いています。最近だったら体脂肪のこと、筋肉量のことを聞きながら、データーにしたりして管理しています」

 堂安が見据えるのは欧州のトップリーグだ。
 
「今は(対戦相手に)体を当てにいくのを楽しんでいます。やっぱりきれいなサッカーだけじゃ勝てない。最近、プレミアのサッカーを多く見るようになりましたが、サッカーじゃないみたいで、その辺にボールが転がっているような競技に見えることもある。でも楽しそうだなと思います。そういうところに行きたいから、ここでやるしかないと思ってやっています」

 堂安は、泥臭く闘っている。

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著者プロフィール

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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