小回りなのに差し・追い込み有利な2歳牝馬重賞/佐賀・フォーマルハウト賞データ分析

佐賀県競馬組合
チーム・協会

2023年フォーマルハウト賞優勝ファーマティアーズ 【撮影:佐賀県競馬組合】

第3回フォーマルハウト賞(2歳牝馬、ダート1400m)
12月1日佐賀6レース 18時05分発走予定


2022年に創設され、昨年からは地方全国交流重賞となったフォーマルハウト賞。2年連続で遠征馬が勝っているが、今年こそ地元馬の勝利なるか。
ここではサンプル数が少ないものの過去2回の当レースのデータや、直近3年の佐賀ダート1400mのデータを元に分析する。

※直近3年:2021.12.1~2024.11.28

遠征馬が2連勝中

地方全国交流の当レース。過去2回はともに遠征組の兵庫と大井が勝っている。地元・佐賀は2着1回、3着1回だった。

所属別成績 【表1】

上位人気決着も、1番人気未勝利で3連単はややおいしい!?

単勝人気別ではいずれの年も4番人気以内での決着となっており、3連単は2022年7530円、23年5770円という配当だった。1番人気の勝利は意外となく、キャリアの浅い2歳戦、さらには繊細な面を持つ牝馬限定戦というのが5000円超えの配当を引き寄せているのかもしれない。

単勝人気別成績 【表2】

小回りコースなのに逃げ馬未勝利!?

過去2回の少ないサンプルながら、意外だったのは逃げ馬が未勝利ということ。舞台となる佐賀ダート1400mは4コーナーの引き込み線から1周するという、地方競馬では最もオーソドックスなコース。そこにおいて追い込み馬が1勝、2着1回、3着1回はかなりの好成績だ。なお、差し・追い込みで3着以内に入った馬はいずれも上がり3ハロンは40秒前半以下だった。

脚質別成績 【表3】

そこで、同舞台(佐賀ダート1400m)での2歳戦との脚質別成績を比較したのが下表。
暖色系が2歳戦全体、寒色系が当レースで、全体としては逃げ・先行有利なのに対し、当レースは対照的な結果となっていることが分かる。

フォーマルハウト賞/同舞台での脚質別成績の比較 【表4】

竹吉騎手は内の偶数枠で好成績

差し・追い込みが好成績なのに対し、今年の出走馬は逃げ・先行タイプが多く見られる。その中の1頭ポリスヴィークルは逃げて重賞・カペラ賞を勝った馬。同馬に騎乗する竹吉徹騎手の馬番別成績は下表の通りで、内の偶数枠に入った時が比較的好成績だ。なお、竹吉騎手の脚質別成績は他の多くの騎手と同じく、逃げ→先行→差し→追い込みの順に成績が良く、極端な傾向は見られなかった。

竹吉徹騎手の馬番別成績 【表5】

2歳戦でのジョッキー成績は?

佐賀の2歳戦における騎手の成績は下表の通り。おおむねリーディング通りの結果となっている。山田義貴騎手は佐賀リーディングは4位につけるが、直近3年の2歳戦に限れば6位。ただしこれは山田騎手が2022年4月デビューということが大きく関係しているだろう。

2歳戦での騎手別成績 【表6】

地元馬は持ちタイムで狙え

基本的には遠征馬が有利な傾向となっているが、地元・佐賀勢も健闘。そこで、地元馬はどの基準で選んだらいいのか。下表は舞台となる佐賀ダート1400mでの持ちタイム別の成績。出走馬中持ちタイム1位の馬は2着1回、3着1回で3着内率66.7%に対し、持ちタイム2位は3着内率0%と、明暗が分かれた。

持ちタイム別成績 【表7】

データからの推奨馬は?

①遠征馬
②佐賀所属馬で、佐賀ダート1400mの持ちタイム1位の馬
③近走で上がり3ハロン40秒4以下の差し・追い込み馬


トサノマイヒメ(高知)は高知で3勝を挙げる馬。いずれも勝ちタイムは水準レベルにある。高知からの遠征馬や佐賀移籍直後の馬は好走例が多く、当レースでも昨年はウオタカが3着だった。鞍上の多田羅誠也騎手は佐賀でダノングッドやアンティキティラで重賞勝利歴も豊富。①に当てはまる。

ビービーシャルムは門別未勝利から佐賀に移籍し、2勝を挙げる。移籍初戦はスタート一歩目がそう速くはなく後方からとなり、さらに4コーナーはカラ馬の影響でかなり外を回されながらも直線で伸びて勝利。前走は向正面からのロングスパートで差し切り勝ちと、末脚が武器だ。前走の上がり3ハロンは39秒4で③に該当。

②の持ちタイム1位は逃げて上位争いを繰り広げるダイメイヒロイン

出走馬中唯一の重賞馬ポリスヴィークルは①~③には該当せず。当コースの持ちタイムも2位だった。ただ、実績は上位で、逃げて1800mのカペラ賞を勝ったほか、九州ジュニアチャンピオンでもやや掛かり気味に2番手につけながら2着に粘った。一方で、前走のネクストスター佐賀は2番手に控えたものの、向正面から早々に後退してしまい11着。控えたことが敗因だったのだろうか。今回は初騎乗の竹吉騎手を鞍上に迎える。表5のように内枠、特に偶数枠で好成績のジョッキーで、今回は奇数枠ではあるが真ん中より内の5番枠に入った。

第3回フォーマルハウト賞 【出馬表】


文・大恵陽子(おおえ ようこ)
競馬リポーター。小学5年生で競馬にハマり、地方競馬とJRAの二刀流。毎週水曜日は栗東トレセンで、他の日は地方競馬の取材で全国を駆け回る日々。グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」「地方競馬中継」などに出演のほか、「優駿」「週刊競馬ブック」「うまレター」「馬事通信」など各種媒体で執筆。
「大恵総合研究所」なるデータ分析機関を勝手に設立し、現場取材で得た騎手・調教師などの談話をヒントに、馬場傾向やレース傾向を導き出して精度向上に励む。
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著者プロフィール

佐賀競馬は九州唯一の地方競馬場として主に土日に競馬を開催しています。注目の重賞情報やイベント情報など、佐賀競馬のニュースを日々お届けいたします。

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