今季のJはタイの“ビッグ3”に注目
万能型FWと「悪魔の左足」を持つ男が加入

Jリーグ勢キラーの左SB、ティーラトン

タイ代表主将のティーラトン(左)は「悪魔の左足」とも呼ばれる精度の高いキックが武器
タイ代表主将のティーラトン(左)は「悪魔の左足」とも呼ばれる精度の高いキックが武器【Getty Images】

 一方、神戸への移籍が報じられているティーラトンはタイ代表の主将を務める27歳の左SB。左足のキックの精度はアジアトップレベルで、ACLではJリーグ勢を何度も苦しめてきた。


 ACLに初めて出場したのは、ブリーラム・ユナイテッド時代の12年。13年のACLでは大会のベストイレブンにあたる「ドリームチーム」のサブメンバーに選出される活躍を見せ、チームのベスト8進出に大きく貢献した。ブリーラムはタイリーグの急成長を象徴する存在としてアジアの舞台に登場してきたが、その成功はティーラトンの左足なくしてはあり得ないものだった。


 ティーラトンの左足は、Jリーグ勢との対戦でも印象的な輝きを放ってきた。なかでも15年のACLグループステージでガンバ大阪を相手に決めた2つのゴールは衝撃的なものだった。G大阪のホームで行われた第1戦で直接FKを決めると、ブリーラムでの第2戦ではCKからの直接ゴール。その左足の威力は日本のメディアで「悪魔の左足」とも評された。

17年のACL鹿島戦では、その左足でFKを直接たたき込んだ
17年のACL鹿島戦では、その左足でFKを直接たたき込んだ【Getty Images】

 16年にブリーラムからライバルであるムアントン・ユナイテッドに移籍。ムアントンの一員として出場した昨季のACLでもグループリーグの鹿島戦でFKを直接たたき込み、チームを勝利に導いた。ACLでのティーラトンのゴールを見ると、15年はG大阪戦のみ、17年は鹿島戦のみだから、Jリーグ勢に対する相性の良さを感じさせる。


 タイのメディアに対してはすでにティーラトン本人が神戸への移籍を認めており、ムアントン・ユナイテッドのオーナー企業でもあるタイの大手紙『サイアムスポーツ』によればムアントン・ユナイテッドが出場するACLプレーオフが終了次第、正式に移籍が発表されるといった具体的な報道もされている。「神戸のティーラトン」誕生は時間の問題だろう。

“ビッグ3”によってJの注目度はさらに高まる

 Jリーグが「アジア戦略」を進める上で、タイからのJリーガー輩出は最も重視されてきたポイントの1つだった。その中でチャナティップ、ティーラシン、ティーラトンの3選手は、何年も前からタイ人初のJリーガー候補として名前が挙げられてきた。だが、タイは他の東南アジア諸国に先がけて国内リーグが発展していたため、金銭面の条件で折り合いがつかず、移籍が実現しない状況が続いていた。


 だが、チャナティップの活躍と「提携国枠」の導入がその状況を一気に打破した。タイでは昨シーズンから本格的なJリーグ放送がスタートしており、各メディアでのJリーグの露出も飛躍的に増えている。3選手は現在のタイサッカー界の“ビッグ3”と言える存在だけに、今季はタイにおけるJリーグへの注目度がさらに高まることは間違いない。


「広島のティーラシン」と「神戸のティーラトン」が、「札幌のチャナティップ」のように機能するのかはもちろんやってみなければ分からない。だが、昨季のチャナティップ並みの驚きを与えられる実力を備えた選手たちであることは確かだ。タイの“ビッグ3”は、今季のJリーグの見どころの1つとなりそうだ。

本多辰成

1979年生まれ。静岡県浜松市出身。出版社勤務を経て、2011年よりバンコク在住。タイ・プレミアリーグを中心に、Jリーグの「アジア戦略」の拠点としても注目を集める東南アジアサッカーを追う。日本のサッカー専門誌や現地の日本語媒体に記事を寄稿、「サッカー小僧」(白夜書房)では創刊号よりコラム「微笑みの国にて。」を連載中

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