張本、平野…勢い衰えぬ日本卓球界 2018年は東京五輪への試金石に

月刊『卓球王国』

14歳ながら堂々たる世界トッププレーヤーの仲間入りを果たした張本智和 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 世間は空前の「卓球ブーム」を迎えている。

 1月の全日本選手権での平野美宇(JOCエリートアカデミー/大原学園)の史上最年少優勝、水谷隼(木下グループ)の史上最多9度目の優勝で幕を開けた2017年の日本卓球界。リオ五輪で3つのメダル獲得に沸いた2016年の勢いは今年も衰えず、4月に開催されたアジア選手権では平野美宇が中国トップ層を3連破し、日本女子として21年ぶりの優勝を果たした。

 勢いは加速し、5月末から6月上旬にかけての世界選手権でも日本勢が躍動する。吉村真晴(名古屋ダイハツ)、石川佳純(全農)の混合ダブルスでの日本勢48年ぶりとなる優勝のほか、計5つのメダルを獲得。さらに張本智和(JOCエリートアカデミー)が男子シングルスで史上最年少でのベスト8に入った。

張本、平野だけではない10代の活躍

早田ひな(右)と伊藤美誠もコンスタントに高い成績を残し存在感を高めている 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 その中でひときわ光るのが、ティーンエイジャーの活躍だ。前述した張本は8月に開催されたワールドツアー・チェコオープンで史上最年少優勝を果たし、世界ランキングは最高で13位まで上昇。ITTF(国際卓球連盟)が主催する「ITTFスターアワード」では昨年の平野に続き「ブレークスルースター賞」を受賞した。
 12月23、24日に開催された2018年世界選手権ハルムスタッド大会の日本代表選考会でも優勝を果たし、自力で初の世界選手権団体戦の代表をつかんだ。

 14歳ながら今や堂々たる世界トッププレーヤーの1人。誰に勝っても不思議ではない実力をつけており、その成長速度には驚かされるばかりだ。

 女子では世界選手権シングルスで48年ぶり表彰台となる銅メダルに輝いた平野の活躍が光ったが、同学年の伊藤美誠(スターツSC)、早田ひな(日本生命)も女子ダブルス3位と存在感を見せた。

 伊藤は、ワールドツアーでもコンスタントに成績を残し、9月から12月にかけて世界ランクトップ10内をキープ。世界選手権代表選考会でも優勝し、4大会連続での代表を射止めた。

 同学年の平野、伊藤の背中を追ってきた早田にとっても、初の世界選手権でメダルを獲得するなど、ブレークの1年となった。特にダブルスではワールドツアー3大会で優勝したほか、出場したほとんどの大会で上位に絡む活躍。ペアリングに関しても、伊藤、平野と異なるペアリングで優勝を果たすなど、相方を選ばない「ダブルス巧者」ぶりを発揮した。ダブルスが組み込まれる五輪の団体戦、そして東京五輪からは混合ダブルスが競技に加わるが、早田のダブルスでの強さは他の選手にはない強みと言えるだろう。

国内の争いはかつてないハイレベル

石川佳純(左)と水谷隼の両エースも健在だ 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 10代の躍進が光る中、水谷と石川、日本の男女エースもまだそのポジションを譲るわけにはいかない。水谷は、ワールドツアー、ヨーロッパチャンピオンズリーグ、そして今年からスタートしたT2アジアパシフィックリーグと、海外を転戦。実戦の中で進化を模索してきた。

 世界選手権で自身2度目の女子シングルスベスト8入りを果たした石川は、より速く攻撃的なスタイルを志向してきた。同大会の準々決勝で丁寧(中国)に敗れた後もプレーに関しては手応えを口にしたが、11月に行われたワールドツアー・ドイツオープン、スウェーデンオープンでは中国選手から計3勝を挙げるなど、その成果は着実に現れている。

 水谷、石川の両エースと成長著しい10代の選手たち、その他にも男子では丹羽孝希(スヴェンソン)、松平健太(木下グループ)、女子では佐藤瞳(ミキハウス)、加藤美優(日本ペイントホールディングス)ら実力者が揃う来年1月の全日本選手権は、過去最高レベルと言っても過言ではないハイレベルな戦いが期待できる。年々激しさを増す国内競争は、ここ数年の日本卓球界の躍進を支えている要因のひとつだろう。

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