張本、平野…勢い衰えぬ日本卓球界 2018年は東京五輪への試金石に

月刊『卓球王国』

18年最大の目標は世界卓球・団体戦

最大の強敵として立ちふさがる中国勢も、林高遠(写真)ら若手の成長が著しい 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 来る2018年、最も大きな試合となるのは4月末に開幕する世界選手権団体戦ハルムスタッド大会。前回の2016年の世界選手権団体戦では日本は男女アベックで銀メダルを獲得。しかし、決勝ではともに中国にストレートで敗れている。2018年大会でも、優勝に向けて最大の強敵となるのは中国に間違いない。決してたやすい道のりではないが日本としては中国との対戦までたどり着き、なんとか風穴を開けたいところだ。

 その中国代表にとって、2017年は何とも騒がしい1年だった。世界選手権では他国の選手と組む国際ペアで出場した混合ダブルスを除き、5種目中4種目を制覇したが、アジア選手権では平野美宇に屈辱の3連敗、男子ワールドカップでも過去3年間独占してきた金・銀メダルをドイツ勢に空け渡すなど、他国選手に敗れる試合も目立った。また、世界選手権中の孔令輝監督の強制送還事件、中国オープンでの一部選手のボイコット騒動など、コート外でも注目を集めてしまった。

 そんな中でも、男子の林高遠、女子の孫穎莎、王曼ユなど若手も頭角を現してきており、たとえ敗れてもさらに力をつけて帰ってくるのが中国の強さ。日本としても、そのレベルアップの速度に食らいついていくしかない。

東京五輪への試金石となる2つの大会

14〜18歳の世代が頂点を争うユース五輪。男子代表は張本だ 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 また、世界選手権の他、2018年には2つの「五輪」が控える。まずは4年に一度開催されるアジアの五輪・アジア競技大会。世界選手権とは違い、国際卓球連盟の定める「帰化選手規定(21歳以上で帰化した選手は世界選手権へ出場できず、21歳未満で帰化した選手の場合も数年間は出場できない)」が適用されない大会のため、各国とも五輪に近いメンバー編成が予想される。2年後の東京五輪を占う上で、この大会がひとつの試金石となるだろう。

 もうひとつはユース世代(14〜18歳)の五輪、ユースオリンピック。卓球競技はシングルスと男女それぞれ1名ずつで戦う混合団体で争われるが、日本は第1回大会で丹羽孝希がシングルス・男女混合団体(パートナーは谷岡あゆか・現日本体育大)で金メダル、第2回大会でも村松雄斗(東京アート)がシングルス銀メダル、加藤美優との男女混合団体で銅メダルと2大会続けてメダルを獲得している。

 第3回の今大会、日本からは張本智和と平野美宇というシニアでも世界トップランカーの2人が出場する。しかし、中国も次代のエース候補である王楚欽、孫穎莎が出場し、第2回大会に続く3種目制覇を狙っており、金メダルへの道は容易ではない。ともに東京五輪出場、そしてメダル獲得を目指す張本と平野としては、まずは同世代と争うスポーツの祭典で金メダルを持ち帰りたいところである。

 東京五輪まで3年を切り、国内においても国外においても、ますます競争は熾烈になっていく。激しさを増す競争の中で、日本卓球界にとって飛躍の年となった2017年を越えるインパクトを世界に与えてほしい。

(文:浅野敬純/卓球王国)

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