2017年有馬記念は5歳3強vs.3歳の争いか キタサンV最右翼も気になるジンクス
今年は12月24日イブ決戦!
いよいよ今週末は有馬記念。イブ決戦を制するのはどの馬か(写真は2016年有馬記念) 【写真:中原義史】
決戦の日曜まであと6日。「有馬当たれば全て良し」とするためにも、ここで出走を予定している有力馬をチェックしておこう。
キタサンブラックの「3戦目」「グランプリ未勝利」をどう見るか
キタサンブラック(左)がV最右翼であることは揺るがないが気になるデータも…… 【写真:中原義史】
この秋は当初からGI天皇賞・秋→GIジャパンカップ→GI有馬記念の3戦を終えた後に引退というローテーションが発表されており、2戦の激闘を終えたこの中間も出来に陰りは見られない。13日には栗東CWコースで1週前追い切りが行われ、攻め駆けする併走馬を相手に6F78秒台、ラスト1ハロンも12秒前半の猛時計でフィニッシュ。中間にこれだけの稽古ができるのも調子が良い証拠、ここまで順調に来ているからこそだろう。
今年の成績だけを振り返っても、新設GIの大阪杯制覇を皮切りに、ディープインパクトの走破タイムを破るGI天皇賞・春レコードV、秋は極悪馬場と出遅れをモノともせずGI天皇賞・秋勝利など、競馬界の主役にふさわしい走りを見せてきた。さらに、その影響は競馬界にとどまらず、今年の漢字1字が「北」に選ばれる理由の1つにもなった。実績、実力を考えれば当然、この有馬記念でもV最右翼の評価は揺るがない。
武豊がオグリ、ディープに続きキタサンブラックも有終の美へと導くか 【写真:中原義史】
ただ、キタサンブラックに死角があるとすれば「休み明け3戦目」という点か。競馬では一般的に休み明け3戦目は一番の走りごろとも言われているが、キタサンブラックのこれまでの戦績を見ると、15年秋(有馬記念3着)、16年春(宝塚記念3着)、16年秋(有馬記念2着)、17年春(宝塚記念9着)と、勝ちきれていない。また、これら有馬、宝塚の成績を見て分かるように、ファン投票では16年春から4季連続で1位を獲得しているものの勝利を挙げられていない。この「休み明け3戦目」と「春秋通してグランプリ未勝利」をただの偶然と見るか、それとも……。
充実シュヴァルグラン、GI連勝狙える!
5歳秋にして覚醒したシュヴァルグラン、GI連勝を狙う 【写真:中原義史】
ここに来ての充実ぶりは、父ハーツクライから受け継ぐ成長力によるものだろう。ハーツクライ自身、3歳時のクラシックではダービー2着などあと一歩の成績で終わったが、4歳の有馬記念(2005年)で三冠馬ディープインパクトを撃破しGI初制覇。翌年春も国際GIドバイシーマクラシックを制するなど、古馬になってからの成長力が素晴らしかった。その遅咲きの血がシュヴァルグランをついに開花させたと見るべきだろう。また、血統の話を少し付け加えるなら、半姉ヴィルシーナ、半妹ヴィブロスともにGIホース。母系も超がつくほど優秀なのだ。
こちらもJC後は順調に調教を消化。栗東CWコースでの1週前追い切りは3頭併せで1頭に先着を許したが、もともと攻め駆けしないタイプであるから気にするところではない。むしろゴール板を過ぎてからもグイグイと追われており、この意欲的な攻め姿勢はまさに“買い”材料と言える。JC後、友道康夫調教師は「一番良い状態で出走できると思います」と語っていたが、その通り絶好調でゲートインできそうな雰囲気だ。となれば、あとは2017年世界ナンバーワンジョッキーに輝いた豪の名手ヒュー・ボウマンに再び手綱を託すのみ。
しかしながら、シュヴァルグランは昨年の有馬記念は5番人気6着。中山競馬場でのレースがこの1戦のみだけに何とも言えないところだが、一瞬の切れ味というよりは長い脚を使う印象がある。それだけに、コーナーを6度回る中山2500メートルがどう影響するか。21日(木)に決まる枠順は大きなポイントとなりそうだ。