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DeNA公式ドキュメンタリーを見た!
ともに戦うファンもまた物語の登場人物
クライマックスシリーズで広島を破り、日本シリーズ進出を決めて抱き合うラミレス監督と主将の筒香
クライマックスシリーズで広島を破り、日本シリーズ進出を決めて抱き合うラミレス監督と主将の筒香【写真は共同】

 横浜DeNAの公式ドキュメンタリー映画『FOR REAL―必ず戻ると誓った、あの舞台へ。―』を見た。シーズン3位からクライマックスシリーズ(CS)を勝ちあがった2017年の“軌跡”、そして“奇跡”を記録した作品である。


 試写会に足を運ぶ際の気持ちを率直に言うと「どきどき」も「わくわく」もない。なぜなら、この映画の“結末”は誰もが知っているからである。そこにあるのは「よし、見るぞ」というベイスターズファンとしての燃える使命感のようなものだ。

キャプテン筒香嘉智の物語

 約400時間にもおよぶ記録映像から切り取られたこのドキュメンタリーは、主将・筒香嘉智の物語を中心に進んでいく。キャプテンであることを当然のごとく受け入れ、孤独感や重圧すらも半ば楽しみながらチームをまとめていく姿に「ご立派になられて……」と、しみじみ目を細めてしまう。


 だが、普段の筒香はガキ大将そのもの。例えば脇腹を負傷してテーピングも痛々しい柴田竜拓に、あれやこれやとちょっかい出す。その姿はまさに“ジャイアン”で、いじられキャラの柴田に至っては“しば太”と呼びたくなるほどの怯えっぷりを見せる。しかし、そんな柴田を裏でこっそり呼び出し、苦境での心構えを説き、励ますキャプテン。ふたりの絆は、柴田の部屋のドアに貼られた“3枚の紙”、そして「すごい先輩です」と笑顔で語る彼の様子からしっかりと伝わる。

これはこれで劇場版が見てみたい
これはこれで劇場版が見てみたい【イラスト:カネシゲタカシ】

 そうそう、これは映画じゃないか。映画版のジャイアンは往々にしてイイやつと決まっているのだ。CSファイナルステージで広島を下し、日本シリーズ進出を決めたあの夜のビールかけ。スタートの合図をした壇上の筒香に、何人もの選手がわれ先にと白泡を浴びせたのは、そんなキャプテンへの精一杯の感謝に違いない。

「プロも和で勝つ」、これでいいのだ

 そして、選手の数だけストーリーがある。それらはときに楽しく、ときに切ない。 


 投手陣は「小さな大魔神」こと山崎康晃のストーリーを中心に語られるが、クローザーの座から陥落した彼の涙は、あの普段のはち切れんばかりの笑顔を知る人間ほど心が揺さぶられるだろう。かと思えば、クールな顔でボケ倒す今永昇太を見て「そういえばドラフト指名後の会見で『ゲッツ』をやりまくった男だった」と思い出したり、そんな今永が勝っても負けても涙する様子を見て「なんて熱いやつだ」と心つかまれたり。


 そして、不振にあえぐ桑原将志を「あいつが暗くなると大変」と笑いながら励ます小川博文コーチの気遣いや、2軍落ちするセットアッパーを「また10日後」と、さり気なく見送るロッカールームの友情にも心打たれる。さらに宮崎敏郎&梶谷隆幸の同級生凸凹コンビの友情、正捕手の座を争いながらも深い絆で結ばれた捕手3人組(戸柱恭孝、嶺井博希、高城俊人)の友情を見ては「ああ、ベイスターズっていいチームだな」と心底思わせてくれる。


 かつて西鉄(現・埼玉西武)を率いた名将・三原脩は「アマは和で勝ち、プロは勝って和となす」という言葉を残した。しかし、時代は変わった。「プロも和で勝つ」。これでいいのだ。

カネシゲタカシ
カネシゲタカシ
1975年生まれの漫画家・コラムニスト。大阪府出身。『週刊少年ジャンプ』(集英社)にてデビュー。現在は『週刊アサヒ芸能』(徳間書店)等に連載を持つほか、テレビ・ラジオ・トークイベントに出演するなど活動範囲を拡大中。元よしもと芸人。著書・共著は『みんなの あるあるプロ野球』(講談社)、『野球大喜利 ザ・グレート』(徳間書店)、『ベイスたん』(KADOKAWA)など。

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