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石井宏樹&紗綾が語る決勝戦見どころ
「両国のメインとして最高のカード」
「KING OF KNOCK OUT初代ライト級王座決定トーナメント」を石井宏樹さん(左)と紗綾さんに振り返ってもらう
「KING OF KNOCK OUT初代ライト級王座決定トーナメント」を石井宏樹さん(左)と紗綾さんに振り返ってもらう【スポーツナビ】

 キックボクシングイベント「KNOCK OUT」の旗揚げから1年。その集大成となる「KING OF KNOCK OUT 2017両国」が12月10日(日)、東京・両国国技館で開催される。


 同大会のメインイベントは「KING OF KNOCK OUT初代ライト級王座決定トーナメント決勝」の森井洋介vs.勝次の一戦となる。トーナメントには、現在の日本トップを争うキックボクサーが集結し、すべての試合が激しく、レベルの高い戦いとなった。その中で、森井は1回戦で宮越慶二郎、準決勝で町田光に勝利し決勝へ。一方の勝次は1回戦で不可思、準決勝では前口太尊との激闘を制して勝ち上がった。激闘必至の戦いで頂点に立つのはどちらか、注目が高まる。


 今回は「スポナビライブ」解説席でトーナメント1回戦からすべて見てきた、石井宏樹さんと「KNOCK OUT」オフィシャルサポーターの紗綾さんに、トーナメントの振り返りと、決勝戦の見どころを語ってもらった。

男と男の意地がリングに! 感動の戦いだった

激戦が続いた初代ライト級王座決定トーナメント。どの試合も男と男の意地がぶつかり合った
激戦が続いた初代ライト級王座決定トーナメント。どの試合も男と男の意地がぶつかり合った【写真:中原義史】

――いよいよ両国大会では決勝が行われますが、ここまで激闘が続いたライト級トーナメントを振り返っていかがでしょうか。


石井 みんなこのトーナメントにすごく懸けていて、1回戦から決勝のような戦いぶりで、想像以上でした。本当に“負けたら終わり”というのが伝わってきましたし、そこを勝ち続けて這い上がってきた決勝の2人、森井選手と勝次選手の試合はおそらく今まで以上の内容になると思います。どういう試合になるかすごく楽しみです。


紗綾 私はここまで見てきて、男と男の意地がリングにあって、リングに立つまでもドラマがあるし、そういったことを全部ひっくるめた人間性とか思いがその日の戦いで全部見られるので、見ていてすごく感動します。キックボクシングに詳しくなくても会場で見ることによってすごく熱が伝わるし、それこそ前口太尊選手と勝次選手の試合は涙が出ちゃいました。それぐらい、このトーナメントは普通の試合とは違う、観客の人たちの心を動かす何かがあると思います。


――さっそく勝次vs.前口戦の話が出ましたが、ほかにトーナメントで心を動かされたというと、どの試合が浮かびますか?


紗綾 不可思選手と勝次選手の試合は、2人合わせてダウンが6回でしたよね。あの試合は会場の盛り上がりがハンパなくて、今でも心に残っています。ああいう試合は、そうはないですよね?


石井 いや、ないですね。あの試合に関しては不可思選手はスーパーライトからライト級に体重を落として、相当キツい過酷な減量だったと思います。でも減量苦で負けたとは絶対言われたくなかったと思うし、勝次は勝次で、階級を落としてきた人間に負けたらというプレッシャーがあったはずです。その意地のぶつかり合いが、あの壮絶な打ち合いになったんじゃないですかね。

「いま行かないと負ける」気持ちが激しい打ち合いの理由

「いま行かないと負ける」という時に前に出ることになると、激しい打ち合いの試合になる
「いま行かないと負ける」という時に前に出ることになると、激しい打ち合いの試合になる【スポーツナビ】

――勝次選手は続いての準決勝、前口選手との試合も再び激しい打ち合いとなりました。


石井 前口選手とやる前から「もうあんな打ち合いはしたくない」って勝次は言っていました。前半は打ち合わないようにして、本人は終始それをやりたかったんだと思いますが、やっぱりもらってしまって“行かなきゃ負ける”っていう気持ちに結果なってしまったんでしょうね。最終的には行って勝てたのでよかったし、勝次はそれで今いい結果が出ているのですごく流れは来ていると思います。たぶん格闘技人生で今が1番流れが来ているんじゃないですかね。だからトップになるチャンスは今だと思います。


――先輩である石井さんから見て、勝次選手は打ち合わず冷静に戦うのと、危険を冒して打ち合いに出るのと、どちらがより良さが出るのでしょうか。


石井 結果論ですけど、行った方が彼の味が出ています。目がいいので、どうしても今までは見てしまうというか、引いてしまう試合が多かったんです。相手をよく見てテクニックを使って勝っていくタイプだったんですけど、今回のトーナメントが始まったらその良さも出しながら、自分から行くスタイルに変わってきたと思います。行った結果、自分も倒れていますけど、起き上がってさらに前へ出て倒しに行っているので、その気持ちの強さ、姿勢というのはトーナメントですごく良い収穫になっていると感じます。


――涙したという勝次選手と前口選手の試合について、紗綾さんもう少し聞かせてください。


紗綾 もう最後の打ち合いは映画を見ているようでした。すごく感動しましたし、こういう打ち合いはこれから見られるのかなっていうぐらいの衝撃を受けました。ああいう打ち合いってどういう場合になるんですか? やっぱり意地ですか?


石井 もちろん意地のぶつかり合いなんだけど、“いま行かないと負けちゃう”ってお互いに思っているからああいうことが起こりうるんだと思います。


――石井さんの現役時代は、どういう場合に打ち合いへ出ていたのでしょうか。


石井 僕はどちらかというと殴られたくなかったので(笑)、よけて当てるようにしていたんですけど、キャリアの後半は行くようになりました。行くとやっぱり自分も倒されるんですけど、倒せるようになったんです。やっぱり引いてしまうと判定勝ちはできるけどKO勝ちは少なかったりする時期があって、なんでだろうって考えた時、やっぱり行かないとKOって勝ちでも負けでも生まれないんです。

 もし自分から行って倒されてKO負けになっても、その場合は納得がいくんです。でも行かないで見て倒されると、もう悔いが残ってしょうがないということを現役の終盤で気付きました。それで集大成になったゲーオ戦(14年2月「NO KICK NO LIFE」)は行った結果、ハイキックで2ラウンドKO負けをしてしまいましたが、あれは悔いも何もありません。だから戦う同士が“いま行かないと負けちゃう”と思ったタイミングでああいう打ち合いが起こるんです。


紗綾 そういえば勝次選手が試合の後で、前口選手のお見舞いへ行っていましたね。


石井 やっぱり戦った者同士にしか分からないものってあるんです。憎くて殴っている訳ではないし、戦ってあれだけのお客さんに喜んでもらえてプロとしての仕事ができて、それが終わると友情が芽生えたりするんですよね。


紗綾 スゴいなぁ。


石井 戦った者同士というのは戦友ですよね。打ち合っている時って楽しいんです。その相手だからこそ打ち合いになるし、この競技をやってきて良かったなって思う瞬間でもあります。それは戦友が生まれるタイミングなんです。

長谷川亮
病弱だった幼少期にプロレスファンとなり、格闘技ファンを経て2002年に格闘技雑誌編集部入りし、2005年からフリーライターに。スポーツナビにはその頃から執筆。病床で何度も読み返したため「プロレススーパースター列伝」は大体暗記。趣味は下手の横好きでキックボクシングとブラジリアン柔術。

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