熾烈極まるフィギュア五輪代表争い GPシリーズで見えた候補者たちの現状
樋口が2戦連続で表彰台入り
演技の安定感が増した樋口は、GPシリーズで2戦連続表彰台と好調だ 【写真:ロイター/アフロ】
同じ中国杯に出場した三原は、GPシリーズ初戦とあって、SPはやや硬さが目立ち、7位スタート。FSで4位に巻き返したものの、まだプログラムを自分のモノにしていないように感じられた。ただ、裏を返せばそれだけ伸びしろがあるということ。「大人っぽさを出したい」と語っているように、プログラムの完成度が高まるにつれて、また違った魅力が表れてきそうだ。フランス杯の結果次第ではGPファイナル進出の可能性も残されている。
GPシリーズデビューを果たした本田、坂本花織(シスメックス)、白岩優奈(関西大KFSC)はシニアの洗礼を受けた。本田は2戦とも5位。ロシア杯に出場した坂本はSPこそ自己ベストを更新し4位につけたが、フリーでは本来の演技ができず、5位に順位を落とした。白岩はNHK杯で8位に終わり、「怖くなってしまう部分があったし、精神面の反省が多かった」と課題を挙げている。坂本、白岩はもう1戦残されており、どこまでシニアの雰囲気に慣れることができるか。
GPシリーズに参戦している日本女子の中では21歳と最年長の本郷理華(邦和スポーツランド)は、2戦で6位、7位と不本意な結果に終わった。演技内容は悪くないものの、細かい取りこぼしが多く、得点が伸びてこない。
宮原の復帰戦は「まずまず」の出来
復帰戦で一定の手応えを得た宮原だが、GPファイナル進出は厳しく、全日本選手権に懸けることになりそうだ 【写真:坂本清】
もっとも宮原は手応えも感じている。「今はもう違和感や痛みもなくて、体は元気なので、あとはスケートの状態を上げていくだけです。力も入り過ぎず、うまく体も動いたので、この段階では悪くない演技だったと思うし、不安はあまりないです」。試合後の表情には充実感が浮かんでいた。
平昌五輪の代表選考会を兼ねた全日本選手権まで、残り1カ月半。現時点で女子には絶対的な選手がいないため、誰が出場権を勝ち得ても不思議ではない。ただ、五輪の切符を獲得することがゴールではない。重要なのは平昌でどのような結果を残すか。
GPシリーズ4戦を消化し、優勝はロシア3回(うち2回はエフゲーニャ・メドベージェワ)、カナダ1回。五輪に出場する2人は、ロシアを始めとする外国勢との争いにも伍していかなければならない。全日本選手権以上に厳しい戦いが、その先には待ち受けている。
(取材・文:大橋護良/スポーツナビ)