稲葉ジャパンが晴天の宮崎で始動 合宿初日のテーマは“慣れる”

中島大輔

稲葉監督と“縁”で結ばれている山川

稲葉監督が見守る中、フリーバッティングで快音を響かす4番候補・山川 【写真は共同】

 ウォーミングアップの後にキャッチボールが始まると、稲葉監督は山川穂高(西武)に近づき、4番での起用を直接伝えた。報道陣の前では、練習試合とアジアプロ野球チャンピオンシップの全試合で山川を4番に据えると明言している。

 この日のフリーバッティングで山川は軽いスイングながら、柵越えを連発、バックスクリーン直撃もあった。その姿を見て、稲葉監督は攻撃の形を膨らませていた。

「日本人はスモールベースボールとよく言われますけど、機動力にプラス、世界で勝っていくにはパワーも必要だというところで、山川選手のあれだけのスイング、パワー、飛距離には非常に魅力を感じます。頼もしく思いました」

 実は、山川と稲葉監督には一つの“縁”がある。山川が富士大で指導を受けた青木久典監督(現・法政大監督)は大学時代に稲葉監督と同期で、そのつながりから大学2年時にバットを譲り受けた。タイカッブ型のバットは当初こそ「しっくりこなかった」が、長さを85センチから2センチ長くし、重心をトップに寄せ、グリップをふた周りほど細くし、遠心力が効きやすいように改良した。するとフルスイングにこだわる山川にとって、「今はこれしか打つのでは無理です」と言うほど欠かせないものになった。

合宿2日目以降は実戦を意識

 そんな“縁”で結ばれた稲葉監督に指名された侍ジャパンの4番について、山川は目を輝かせて話した。

「(4番という看板を)背負っていきたいですね。プレッシャーを感じながら、責任を持ちながらやっていくことに、今回の大会の意味があるので。そこから逃げないようにしたいです」

 居残りで打撃練習を行った選手もいたが、全体的に軽めの調整で合宿初日は終了。10日から連携プレーの確認を行い、実戦に向けた形に近づけていくと稲葉監督は話した。

「今日は初日で慣れるというか、ジャパンに慣れる、(所属の違う)選手に慣れることをやりました。明日からは試合に向けて、ちょっとずつ緊張感を持ってやっていきたいです」

 稲葉ジャパンにとって最初の公式戦は、16日の韓国戦。宿敵との対戦で好スタートを切るべく、10日から本格的に準備を進めていく。

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著者プロフィール

1979年埼玉県生まれ。上智大学在学中からスポーツライター、編集者として活動。05年夏、セルティックの中村俊輔を追い掛けてスコットランドに渡り、4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『プロ野球 FA宣言の闇』。2013年から中南米野球の取材を行い、2017年に上梓した『中南米野球はなぜ強いのか』(ともに亜紀書房)がミズノスポーツライター賞の優秀賞。その他の著書に『野球消滅』(新潮新書)と『人を育てる名監督の教え』(双葉社)がある。

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