ハリル「ブラジルにダメージを与えたい」 親善試合 ブラジル戦前日会見

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ブラジル戦を翌日に控え、会見に臨んだハリルホジッチ監督 【宇都宮徹壱】

 サッカー日本代表は10日、スタッド・ピエール=モーロワで国際親善試合のブラジル戦に臨む。試合を翌日に控えた9日、日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督が会見を行った。

 ハリルホジッチ監督は会見の冒頭で「かなり大きなテストになると思う」とコメント。ブラジルを「現段階で最も強いチーム」と評し、「全員で低いブロックを作って守備をしている」と近年でのブラジルの変化を語った。また、「勇気と強い気持ちを持って臨んでいきたいし、彼らにダメージを与えたい」と意気込みを語ると、「われわれが仕掛けることで、ブラジルを揺り動かしたい。もしかしたら、何かが起こるかもしれない」と話した。

われわれにとって非常に貴重な機会

 多くの皆さんが来てくれて感謝している。(地元メディアの)皆さんは日本代表を見に来たと理解している。(明日の試合は)かなり大きなテストになると思う。現段階で最も強いチームと対戦するからだ。個人も組織も、ハイレベルな選手たちが集まったチームだ。私にとっては(来年のワールドカップの)優勝候補だと思っている。長い間、このチームを追跡しているが、抜本的に変わった。

 以前のブラジルは、オフェンスしかやっていなかった。何人かの選手は守備をしていたが。ブラジルというチームがブロックで守備をするというのを私は初めて見た。全員で低いブロックを作って守備をしている。そして全員がハードワークをしている。これは新しいことだ。現監督になってからの勝率も素晴らしい。(2017年6月の)アルゼンチン戦では敗れたが、得点の効率も非常に高いし、15試合で4失点しかしていない。このチームの強さを証明している。

 守備面でのディシプリン(共通理解)が素晴らしいブラジルというものを初めて見た。歴史的にも素晴らしいアタッカーをそろえてきたチームだが、われわれも勇気と強い気持ちを持って臨んでいきたいし、彼らにダメージを与えたい。日本代表がどのレベルにあるかという確認にもなるので、良いテストになるだろう。ブラジル戦も(次の)ベルギー戦も、世界で最も強い2カ国に対して、われわれがどのようなプレーができるか。われわれにとって非常に貴重な機会だ。

仕掛けることでブラジルを揺り動かしたい

──地元のリールに戻ってきたわけだが、ここのスタジアムで試合ができることをどう思っているか?(地元記者)

 本当にうれしい。この近所に住んでいるし、このような素晴らしいスタジアムを目にすることができたのもうれしい。私の時代に完成していれば良かったのだが。新スタジアムを作ることについて私も賛同した1人だし、私から政治家の皆さんに少しだけプレッシャーをかけたことで、素晴らしいスタジアムを作ってくれた。選手には「私の地元で試合をするからには、絶対に勝たないといけない。そうでないと、私はここで暮らしていけない」という話をした。

──ブラジルに勝てると思うか? それからフィジカル的な準備はできているか?(地元記者)

 勝てると思いたいが、冷静かつ真剣にとらえないといけない。ブラジルの方が強いだろう。現段階では世界で一番強いと思う。ただし、われわれは何かにトライしないといけない。私にも、このような試合に関して経験がある。前回大会でも(アルジェリア代表監督として)、世界一強いドイツに対して準備をした。あの時と同じ状態だ。特別な準備をしないといけないので、ここ1〜2年の彼らの試合すべてを分析した。ブラジルがどんなプレーをするのか、完ぺきに把握している。

 今度はわれわれの攻撃の仕方、守備の仕方を作らなければならない。われわれは守備をするためだけに、ここに来たのではない。守備で満足したら、それは間違いだ。われわれが仕掛けることで、ブラジルを揺り動かしたい。もしかしたら、何かが起こるかもしれない。

──明日のスタメンは決まっているか?(田村修一/フリーランス)

 この2日間、素晴らしい準備をしてきた。誰が先発するかについては、まだ決まっていない。ただし、それぞれの選手がどのような守備をするのか、ブロックの仕方、オフェンスの仕方もやっている。守備だけしていればいいと選手が思ってしまっていたら、それは不安だ。なぜなら、われわれは守備だけをするクオリティーにはない。われわれのアイデンティティーを伴ったフットボールを明日のブラジル戦で見せたい。

 しっかり守備をして、しっかり攻撃をする。結果はやってみないと分からないが、勇敢さと野心をもって臨みたい。私は負けるための準備をしたことはない。このような強い相手に対して、10回のうち1回は成功するかもしれない。守備のところを完ぺきにやって、リアリストになってオフェンスのところでチャンスを逃さないことが大事だ。

タクティカルな練習もたくさんやってきた

──強い相手の方が監督のサッカーの持ち味が出ると思うが、監督自身も力を証明したいと考えているか?

 われわれはW杯の準備をしている。ということは、すべての面で(要求の)厳しさが高くなる。フィジカル、タクティクス、メンタル。いろいろなことを伸ばさないといけないし、野心を高く持っていないといけない。

 私が就任した時はW杯もアジアカップも終わっていた。そして私が受け持つことになったチームは、失望しており野心がない状態だった。W杯ブラジル大会、そしてオーストラリアでのアジアカップで、日本は失望感でいっぱいだった。

 私は3年かけて、このチームに勝つ文化を植え付けている。今のところ、ここまでの道のりは悪くなかったと思う。ただ「世界一のチーム」とは対戦してこなかった。本大会では、世界一と対戦する可能性があるから、今のうちに経験しておく必要がある。ブラジル戦とベルギー戦が終わったら、いろいろな答えが出てくるだろう。私の指導もより細かく、ポイントを絞ったものになる。どのポイントを伸ばさないといけないのかが分かってくる。(W杯まで)あと7カ月、選手各自がクラブでやらなければならないこと、次の合宿でやらなければならないこと、そして何を伸ばさないといけないのか。ブラジルよりも(本大会で)良い結果を求めるには、そういったことを野心をもってトライしていかないといけない。

──強いブラジルと対戦するにあたり、中盤の構成も含めて新しいことにトライする考えはあるか?

 新しいシステムがあるかは分からないが、われわれはわれわれのシステムで戦う。先ほども言ったが、タクティカルな練習もたくさんやってきた。スピードもテクニックもあるFWをどう防ぐか。それから素晴らしいパスが出てくる中盤をどう防ぐか。それから両サイドバックをどのように対処するか。そしてわれわれがボールを奪ったら、どうすべきか。それらについて完ぺきに説明している。どこにつないで、誰が顔を出すかという話までしている。ボールは真ん中なのか、サイドなのか、それとも背後なのか。早く、たくさん走らないといけない。リズムの変化。ただしそれは、彼らもうまい。ネイマール、(ガブリエル・)ジェズス、(ロベルト・)フィルミーノ、ウィリアン。彼らはスピードもある。われわれはわれわれのプレーを試す。

 われわれ日本もコンプレックスなしでやっていきたい。われわれも得点できるし、何かができる。何もできないではなく、メンタル面が大事になってくると思う。タクティカルの面は各自に細かく説明している。あとは、コミュニケーションの能力をもう少し伸ばしたい。何人かにアドバイスはしたが、試合中のコミュニケーション能力をもう少し伸ばしたいと思う。ありがとう。皆さんも良い試合を。

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