義足の史上最速女王が感じた東京の可能性 「きっと成功する」と確信したその訳は?

吉田直人

パラリンピック短距離2冠、義足のスプリンターであるマールー・ファン・ラインが東京への思いを語る 【スポーツナビ】

 陸上競技のマールー・ファン・ライン(オランダ)は、先天的に両脚の膝下がない、義足のスプリンターだ。インタビュー時の美しいドレス姿からは想像し難いが、鍛え上げた腰回りと体幹の強さで義足の反発をコントロールし、小気味良いピッチで加速する。両脚が義足である特性を生かして後半に爆発的な伸びを見せ、フィニッシュ直前で他選手を刺すレーススタイルを身上とする。

 元は競泳選手だったが、2010年に陸上へ転向。2年足らずで迎えた12年のロンドンパラリンピックで200メートル金、100メートル銀(T44/下肢切断など)の実績を残す。4年後のリオデジャネイロパラリンピックでは両種目の2冠を達成。今夏のロンドン世界選手権では200メートルで3連覇を果たした。100メートル、200メートル、400メートルで世界記録を保持する26歳は、東京へ向けてどのような思いを抱いているのだろうか。

 パラアスリートたちに迫るWOWOWのドキュメンタリー番組「WHO I AM」のトークイベント出演で来日したファン・ラインに聞いた。

東京パラリンピックで2冠死守へ

ディフェンディングチャンピオンとして臨む東京パラリンピック。すでに金メダル獲得へ向けたトレーニングを始めているという 【Getty Images】

――7月に行われた世界選手権で200メートルは3連覇、100メートルは2位でした。あらためて振り返ってみていかがですか?

 悔しい部分もあります。しかし、200メートルをしっかり勝てたことが大事。努力が形になり、結果的には良かったと感じています。

――2020年の前に、欧州選手権(18年)と世界選手権(19年)があります。プレ東京の2大会に向けて、意気込みを聞かせて下さい。

 すごく大切で、楽しみにしている大会です。結果を出したい気持ちもありますが、東京に向けた自分の調整の場でもある。自分の立ち位置が今どこにあるのかというのを、ビッグゲームを通じて確認できればと考えています。

――東京パラリンピックまで約1000日。それを踏まえて、同大会への目標を聞かせてください。

 リオが終わってすぐにプランを立てたし、毎年、東京というゴールに向けてやっていくつもり。でも、まだまだ先に感じますね(笑)。目標はもう一度勝つこと。リオで取った2つのタイトル(100メートル、200メートル)を守りたいです。

――2種目のディフェンディングチャンピオンとして、東京に向けてコーチやギアマネジャー(義足の調整などを行うスタッフ)とどういったコミュニケーションをとっていますか?

 トレーニングプランから、ブレード(義足)の調整、コンディショニングまで、1人だけではなく、とにかくチーム一丸となって取り組んでいます。コーチが進むべき道を照らして、皆で船に乗り込み、漕いでいくというイメージですね。

1/2ページ

著者プロフィール

1989年千葉県生まれ。大学時代は学内のスポーツ機関紙記者として、箱根駅伝やインターカレッジを始め各競技を取材。2016年、勤務先の広告代理店を退職後、フリーランスライターとしてスポーツを中心に取材を行っている。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント