ダービー2着馬を「血のデータ」が後押し ハンデ重賞アルゼンチン共和国杯の座談会

競馬専門紙「優馬」

競馬専門紙「優馬」トラックマン座談会

 今週日曜は東西で古馬の重賞が組まれていて、東京では伝統のハンデ戦、アルゼンチン共和国杯(GII)が行われる。長距離重賞の常連アルバートや今年のダービー2着馬スワーヴリチャードなどに注目が集まる一戦。GIこそ一休みの週だが、TM(トラックマン)陣に休息の日はない。

実績断然アルバートかダービー2着スワーヴか

秋緒戦を向かえるダービー2着馬のスワーヴリチャード(撮影:日刊ゲンダイ) 【(C)競馬専門紙「優馬」】

デスク「一昨年の勝ち馬ゴールドアクターが続く有馬記念を制し、昨年のシュヴァルグランも直後のジャパンCで3着、春の天皇賞で2着と、近年のレベルが高い一戦だと言えるが、それに比べると今年のメンバーは少し小粒な印象も否めないな。必然的に昨年僅差2着のアルバートが人気になるわけだが、前走でGIを除けば久々に崩れた点が気懸かりだが……」

武井アルバートの前走は、自身が加速しかけたところで、下がってきた馬に前に入られてブレーキがかかるロスがありましたから、不完全燃焼の競馬と見ていいでしょう。昨年のこのレースにしても、直線で窮屈になるシーンがありながらのコンマ1秒差ですし、実力は断然と言える存在です。58キロを背負って、上がり33秒4の脚で快勝したダイヤモンドSの内容を考えても、あと0.5キロの増量は問題ないと思いますね」

坂倉「今年のメンバーでアルバートに敵う古馬は見当たりませんし、未対決の3歳勢もこの世代のレベルを考えると厳しいかな、という気がします。唯一の死角があるとすれば、過去重賞3勝の全ての手綱を取ったムーア騎手からシュタルケ騎手に替わる点かもしれまませんが、それを割り引いたとしても◎は譲れませんね」

守屋アルバートは、当初の予定だったオーストラリアのメルボルンCを回避して国内に専念することになりましたが、これは“名より実を取った”と言えますね。今年のダイヤモンドSでの勝ちっぷりから、瞬発力勝負にも対応できるステイヤーとして完成されたと確信を持ちましたし、このメンバーなら59キロあたりが妥当なハンデかと思うくらいです。0.5キロおまけしてもらったのなら、負けられませんね」

デスク「もちろん陣営の感触も上々なんだろ?」

小島「前走に関しては、不利があったことも確かですが“あの位置に下げたから不利を受けた”と、乗り方に厳しい意見を言ってましたし、そもそも2200mは距離不足ですからね。メルボルンCの回避も、今年から空輸ルートが変更されて大幅に輸送時間がかかるということでの判断で、早くに目標をここへ切り替えて調整の狂いもありません。GIでは今ひとつパンチ不足ですが、“長距離のGIIなら”と陣営も自信を持っていますし、まず崩れることはないでしょうね」

佐藤直「ただ、このレースでは、前年に好走して、そこからハンデが増やされた馬の凡走例が結構多いんだよ。まんまそのパターンのアルバートは人気ほど信頼できないと思うし、ここは久々でもスワーヴリチャードに期待したいな。東京の2500mは、坂下からのスタートとなるぶん、100mしか距離が違わない2400mと比べてもかなりのスタミナが必要となるんだが、ハーツクライ産駒なら心配がないどころか、むしろ2400m戦以上のパフォーマンスを見せられそうだぞ」

伊利「直さんのおっしゃる通り、東京2500mにおけるハーツクライ産駒の単勝回収率は146%という高い数字です。実際に、昨年のシュヴァルグラン、今年の目黒記念のフェイムゲームと、同条件の重賞を連勝している血の勢いもありますから、スワーヴリチャードが再出発を飾ることは間違いないでしょう」

小野智スワーヴリチャードは、最後まで手前を替えることができなかった皐月賞を除けばオール連対、という安定感も凄いですよね。アルバートが強いのは百も承知ですが、ハンデ差を考えれば、こちらから入りたいですね」

デスク「ただ、ダービー以来の久々となる点は割引きが必要なんじゃないの?」

大江原「強かった共同通信杯勝ちも3ヶ月ぶりの久々だったように、スワーヴリチャードは鉄砲が利くタイプと見ていいだろうな。世代のレベル比較はともかくとして、今年の3歳のトップグループに位置付けられる馬なら、たとえ久々でも、GIでは足りない馬たちには負けられんだろう」

広田「復帰がここまで遅れてしまったのは、ダービーの疲れが尾を引いたためですが、逆に無理に目標を決めずに調整されたことで、ここはしっかりと態勢が整っていると言えます。鞍上とは初コンビとなりますが“折り合いが鍵となる馬だが、稽古で何度も跨いでもらってコンタクトは取れている”と、庄野師も自信の表情を見せていましたし、うまく噛み合って持ち前の瞬発力を発揮できれば、勝負になっていいでしょうね」

1/2ページ

著者プロフィール

競馬専門紙「優馬」のスペシャル競馬サイト。トレセンや競馬場という現場で記者やトラックマン達が仕入れてきた生情報を元に、予想記事やコラム記事を掲載しています。さらに、競馬ファンのニーズに対しダイレクトに応えていくようなコンテンツも展開。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント