キャブズのライバルはキャブズだけ? カイリー移籍後も、優勝候補の筆頭に

杉浦大介

プレーオフに向け、現在は「プロセスの途中」

現在のキャブズは「プロセスの途中」と語ったローズ。けがで離脱中だが、表情は明るい 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】

 こうしたいくつかの課題に、1年を通じて答えを見つけていくことがシーズン中のキャブズの焦点になるだろう。ネッツ戦に敗れ、ここまで3勝2敗と好スタートとは言えないが、焦る必要はない。まずは当面の勝ち負けよりも、チーム内のケミストリーを養成していくことが最優先のはずだ。

「僕たちはプロセスの途中にいて、時間がかかるのは分かっている。大切なのはみんなが一丸になること。まだいろいろと探り合っている段階だよ。個人としては、とにかく優勝が狙える位置にいることが今はうれしいんだ」

 けがで離脱中にも関わらず、ローズの言葉は総じてポジティブだった。

「今の僕たちはペースをつかみ、ゲームに入り込むのに時間がかかってしまう。序盤は相手チームの方が、より早いペースでプレーしている。それについて見極めていかなければいけない」 

 ネッツ戦に敗れた後、レブロンはそう反省材料を語りながらも、表情自体は極めて明るかった。ベテラン選手たちの頭の中には、“真の勝負(=プレーオフ)”の時期は、来年4月以降であり、少しずつペースを上げていけば良いという思いがあるのだろう。

ウォリアーズに追いつけるかは分からないが……

キャブズは、チームとして成熟度の高いウォリアーズに追いつけるのか 【Getty Images】

 もともとイースト内には、キャブズに真っ向から対抗できるライバルは少ない。最大の難敵と目されたのはアービングが加わったセルティックスだったが、開幕戦で新加入のゴードン・ヘイワードが足首骨折という重傷を負った。昨季平均21.9得点を挙げたヘイワードの離脱は痛恨で、これでセルティックスが優勝争いに食い込むのは難しくなったと見る関係者も多い。

 その他、ワシントン・ウィザーズ、トロント・ラプターズ、ミルウォーキー・バックスも好選手を抱えてはいるが、まだまだ力不足。最終的にはタレント数がものをいうNBAにおいて、イースタン最強のパワーハウスであるキャブズが上位に進出できないというのは考え難い。

 イースタン内においては、体調次第ではあるが、キャブズのライバルはキャブズだけ。最大目標はあくまでファイナルで、3年連続で対戦し、昨季は1勝2敗と勝ち越しを許したゴールデンステート・ウォリアーズへのリベンジとなる。6月の大決戦(ファイナル)に向け、主力のコンディションをケアし、ペース配分をしながら進んでいく。

 スター軍団に本物のケミストリーは生まれるのか。レブロンはどのくらいの頻度でPGを務めるのか。トーマス、ウェイド、ローズはコンディションを保てるのか。クラウダーはチームに不可欠なペリメーター(スリーポイントラインより内側で、ペイントエリアより外側のエリア)の守備の切り札として確立できるのか――。

 キャブズが抱えるこれらのクエスチョンマークに、どんな答えが出るのかは分からない。チームの成熟度で勝るウォリアーズに追いつけるかどうかも定かではない。ただ、レブロンが元気な限りは、常に希望が持てる。そして、現時点で1つはっきりしているのは、アービングが去った後でも、レブロンとキャブズが今季も騒がしいシーズンを過ごすだろうということだけだ。

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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