“英雄”ファラーがロードへ駆け出す マラソン本格挑戦へ「理解が重要」

スポーツナビ

来日していたファラーにインタビュー 【写真提供:NIKE】

 陸上のトラック長距離で“ゴールドコレクター”として名を馳せてきたモハメド・ファラー(イギリス)。今夏8月のロンドン世界選手権では、「1人対他全員」という構図のレースの中で、男子1万メートルでは地元ファンの声援という後押しを受け、見事金メダルを獲得。しかし続く5000メートルではあと1歩及ばず、2位に終わってしまった。「トラックとしてはこれが最後の世界大会」と決めて臨んだロンドンだったが、最後の最後で金メダルを獲得できなかった。それでも最終レースとなったダイヤモンドリーグ第13戦チューリヒ大会では、しっかりと5000メートルを制し、有終の美を飾っている。

 ファラーの次なる挑戦はマラソンへと距離を伸ばすことになる。トラックで数々の栄冠を勝ち取ってきた英雄のロードでの活躍に期待が高まる。

 そのファラーが10月6日に来日。『MO FAST TOKYO』と題されたナイキのトーク&ランニングイベントでは、ハーフマラソンの日本記録を更新した設楽悠太(ホンダ)と対談、また一般ランナーと一緒に“皇居ラン”で、都内を疾走した。

 スポーツナビではファラーにインタビュー。マラソンへ臨むこれからの意気込みなどを聞いた。

世界選手権1万メートルは「記憶に残る熱いレース」

世界選手権の男子1万メートル決勝では強さを示したファラー。「しばらくの間は記憶に残る熱いレースでした」と振り返る 【写真:ロイター/アフロ】

――8月の世界選手権、そのあとのダイヤモンドリーグ・チューリヒ大会でトラックでのキャリアを終えました。改めて振り返り、この2レースについてはどうでしたか?

 まったく違うレースでしたね。ロンドンは本当にきつかったです。2つの金メダル(1万メートルと5000メートル)が欲しかったのですが、それは無理でした。ただ、それを吸収し、次のレースに準備しました。また負けないように、勝ちたかったので集中して臨み、最後はしっかり勝てて終われて良かったです。

――特に世界選手権の1万メートルは非常にエキサイティングなレースでした。

 とてもきついレースでした。本当にみんなが自分の敵で、「1人対全員」という形でした。みんながチームとして対抗してきて、お互いをカバーしながら自分を捕まえようとしていたのですが、そこに食い込まなくちゃいけないと思って走りました。うまく抜いていき、最後までエネルギーを溜め込んで走りました。自分としても素晴らしいレースだったと思います。しばらくの間は記憶に残る熱いレースでした。本当に、レースの中でたくさんのことが起こりました。

――本当に強かったですね。

 ほんの4秒差でしたからね。ハードな戦いでした。

イギリスを拠点にトレーニング合宿を回る

「本当に子供の成長が早くて」と笑うファラー。家族を大切にする気持ちがマラソン転向へのきっかけでもあった 【写真:ロイター/アフロ】

――これからマラソンに向けての練習が始まります。練習環境はどこが拠点になりますか?

 これからイギリスに戻るところです。これまではオレゴン(米国のナイキ本社もある州)にいました。

――イギリスでの練習環境はすでに整っているのでしょうか?

 出身地なので、よく知っているところだし、練習環境はあります。ただマラソンを走るとなると、トレーニング合宿にはたくさん出ることになります。エチオピアやケニア、それに高地トレーニングにも頻繁に出ることになります。

――イギリスを拠点にして、いろいろな国で練習することになるのですね。

 トラックシーズンの時よりは減ると思いますが、マラソン練習にはトレーニング合宿が必要ですね。

――そもそもトラックでのキャリアを終えたのも、家族との時間を大事にするためですよね?

 そうですね。本当に子供の成長が早くて怖いのですが(笑)、これからも家族を大事にしていきたいです。

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