“英雄”ファラーがロードへ駆け出す マラソン本格挑戦へ「理解が重要」
今までよりも長い距離を走り練習を積む
来年4月のロンドンマラソンが、最初のターゲットとなる大会になる 【写真提供:NIKE】
まずは体を休めることです(笑)。もちろん、今日は(イベントで)走ったりしますけど。その後は(来年4月の)ロンドンマラソンを目標にし、それまでに合宿などを行い、きっちり体を整えていければと思っています。
――どのような練習で調整されていきますか?
今までは10キロと短い距離でしたが、これからはより長い距離になるので、もっと長い距離を走る練習が増えると思います。30キロとか40キロとか、練習でも距離を増やしていきます。いろいろなチャレンジをして、走っている時の景色も楽しみたいですね。
――日本人選手のように40キロを何本も走るような練習もしますか?
もちろんやります。マラソンと同じような距離を同じペースで走っていく練習をやります。そのような練習をやらないと実戦では生かせないので。
――海外の選手は30キロぐらいしか走らないといううわさもありました。
いえ、絶対にやらなくちゃダメです。
――マラソンに向けて特に強化していく部分はどんな点ですか?
走りに関しては十分強いと思うのですが、マラソンに対する理解が重要だと思います。最初にエネルギーを使い過ぎず、セーブして走り切ること。力を抑えながら走ることをやっていければと思います。
目標は完ぺきなマラソンをすること 2時間切り挑戦も
これからマラソンで挑戦を続けるが、「一歩ずつ始めていかないといけない」と話す 【写真:ロイター/アフロ】
最大の目標は、完ぺきなマラソンをすることです。その中で、ロンドンマラソンやベルリンマラソンのようなメジャー大会で勝てればと思います。
ただそこまで行くには、まだまだステップが必要です。今は歩ける前のハイハイの状態ですので、そこから一歩ずつ始めていかないといけません。だからこそ、挑戦してみたいと思っています。今は2時間8分が自己ベストですが、それを徐々に更新していくこと。やはり2時間3分、4分台で走る選手がいますので、メジャー大会で勝つにはそこまでいかないといけません。それはまだ先の話です。
――それこそナイキが、今年の5月に「ブレーキング2プロジェクト」を開き、マラソンでの2時間切りに挑戦するレースを行いました。「2時間切り」には興味がありますか?
もちろん、そういうこともやってみたいです。そこには人間の能力に挑戦するという意味合いもありますし、そのようなレースからの学びもあると思います。2時間切りには、1マイル4分切り(※)と同じような挑戦があったと思います。不可能を可能にできるよう、頑張りたいです。そして現代はいろいろなテクノロジーの進歩もあるので、それをアスリートも活用しながら、昔よりも可能になってきたこともあると思うし、それに挑戦していきたいと思います。
(取材・文:尾柴広紀/スポーツナビ)
※1マイル走(約1600メートル)は昔、「4分を切るのは人間には不可能」という定説ができていた。しかし、1954年にロジャー・バニスターが3分59秒4という記録を打ち出すと、それ以降多くの選手が4分切りを達成。常識を打ち破ると、それに続く選手が現れた。