広陵・中村奨成、本塁打量産の秘訣 甲子園の大爆発でドラ1候補に浮上

西尾典文

甲子園で打ち立てた数々の打撃記録

今夏の甲子園で大会記録となる6本塁打を放った広陵・中村。甲子園の成績をチェック 【スポーツナビ】

 埼玉県勢として初となる花咲徳栄の優勝で幕を閉じた今年の夏の甲子園。しかし大会の話題をさらったのは準優勝に終わったものの、数々の大会記録を打ち立てた広陵・中村奨成だった。今大会の中村の打撃成績と打ち立てた記録を改めて整理すると下記のようになる。

6試合 28打数19安打6本塁打17打点2盗塁 打率6割7分9厘
1大会個人最多本塁打:6本 清原和博(PL学園:85年)の5本を更新
1大会個人最多打点:17打点 萩原圭悟(大阪桐蔭:08年)の15打点を更新
1大会個人最多塁打:43塁打 河合完治(中京大中京:09年)の28を更新
1大会個人最多安打:19本 水口栄二(松山商:86年)に並ぶタイ記録
1大会個人最多二塁打:6本 杉崎成輝(東海大相模:15年)以来4人目となるタイ記録

 清宮幸太郎(早稲田実)と安田尚憲(履正社)という2人の超高校級スラッガーの不在を補って余りある活躍だったことがよく分かるだろう。

1年時は少しセンスのある選手

 入学当時から名門・広陵でマスクをかぶっていた中村だが、清宮とは違って当時から超高校級のプレーを見せていたわけではない。最初に中村を見たのは1年春に出場した中国地区大会の対興譲館(岡山)戦だが、そのときの打順は8番であり、この大会で優勝投手となる三宅和也(現東北福祉大)からセンター前ヒットを放ったものの、それほど力強さを感じるバッティングではなかった。ちなみにこの試合での中村のイニング間のセカンド送球のタイムは最速で2.06秒という数字が残っている。夏の甲子園でマークした1.8秒台の数字には程遠く、この時点では『少しセンスのある1年生』というのが正直な印象である。

 次に中村を見たのは今夏の広島大会の初戦(2回戦)の対崇徳戦。この時点ではドラフト有力候補に浮上していたものの、この試合でも目立ったのはスローイングと脚力。打撃は先制点を呼ぶセカンド強襲の当たりを放ったものの(記録はエラー)、左手に死球を受けたこともあって精彩を欠いた内容だった。実際に広島大会6試合の打率は2割を下回っている。

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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