立浪氏が見る“打者”中村奨成の可能性 「技術的にはかなりのレベル」

週刊ベースボールONLINE

立浪氏が中村のバッティングを分析。「技術的にはかなりのレベル」と評価 【写真:BBM】

 この夏の甲子園を沸かせた広陵高の中村奨成。打っては大会新記録の6本塁打、守っては捕手として強肩ぶりを披露した。ここでは中村のプロでの可能性について、高卒1年目からショートのレギュラーとして活躍した立浪和義氏に打者目線からチェックしてもらった。

大会前から注目していた選手

 まさか私の先輩でもある清原和博さん(PL学園高)の持っていた夏の大会記録5本塁打(1985年)を抜いてしまうとは思っていませんでしたが、大会前から「広陵に素晴らしいバッターがいる」というウワサを聞き、注目していた選手です。

 まずは、バッティングについてです。ホームランもそうですが、打率も6割7分9厘と安定感がありました。フォームを見ていくと、ステップの際、足はほとんど上げていませんが、構えは巨人の坂本勇人選手を真似しているそうですね。いいバッターの素晴らしいところを真似するというのは、高校生くらいの年代までは非常に大切なことです。実際、よく似ていますね。

 坂本選手と同じく、引っ張るだけではなく、逆方向にも長打がありますし、技術的にはかなりのレベルの高さを感じます。一番いいところは、好打者の条件でもありますが、インサイドからバットが出ていることですね。さらにインパクトから押し込む力もあるので、あの細い体でも球がよく飛ぶのでしょう。

どのように成長していくか楽しみ

 逆に、少し気になったのは、大きく引いた構えです。ボールを引き付けながらも強くたたきたいという思いからかもしれませんが、あそこまで大きく引くと、どうしても窮屈になり、投手側の肩が内側に入りやすくなります。もう少し自然体でリラックスした構えからトップに手を持っていくようにしたほうが、木のバットになっても苦労しないと思います。

 大会で6本塁打とはいえ、プロでもホームランバッタータイプなのかどうかは今は分かりません。今回の甲子園は、ホームランが異常なほど出ましたからね。ただ、これからプロで鍛え、体が大きくなっていくはずですし、どのように成長していくのか本当に楽しみです。

 キャッチャーとしては、やはり、あの肩の強さが魅力です。細かいフットワークや配球というのはプロに入ってから勉強することもできますが、肩の強さには天性もあります。いま球界では「打てるキャッチャー」というのが、本当に少なくなっていますし、逆に需要が高くなっているとも言えます。今年秋のドラフト会議では、早実の清宮幸太郎君がプロ志望届を出すようなら、ともに1位で複数球団が競合するのではないでしょうか。

 まだ未完成の部分が多いですし、捕手はどうしても時間がかかります。1年目からすぐスタメンは厳しいと思いますが、素質は素晴らしい。プロでしっかり鍛えたら、「ウチのチームの捕手は、これで10年安泰」という存在にもなってくると思います。
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