広陵・中村奨成、本塁打量産の秘訣 甲子園の大爆発でドラ1候補に浮上
リストの強さと呼び込む意識
今夏の甲子園の活躍がなければドラフト1位候補には挙がってこなかったかもしれない中村。まさしく甲子園の生んだ“怪物捕手”と言えるかもしれない 【写真は共同】
中村の最大の長所はリストの強さである。ただ広島大会まではそれが諸刃の剣となっていた。リストで打ててしまうので、ボールをどうしても迎えにいってしまう傾向が強かったのだ。しかし前述した中京大中京戦では、登板した4投手全員が140キロを超えるスピードと緩急を備えていたということもあり、しっかり呼び込む意識が強くなったことで捉えるポイントが安定したように見えた。そうなったことで下半身の力がスイングに伝わるようになり、強靭なリストがさらに生きるようになったのだ。ホームラン量産の秘訣はここにあると言えるだろう。
甲子園が生んだ“怪物捕手”
プロの捕手は体への負担も大きく、高校時代は強打を誇っていてもいつの間にか“守備の人”になってしまうケースが多い。現役で500試合出場した捕手で通算打率が2割5分を越えているのは阿部慎之助(巨人)だけである。いかに捕手が打撃と守備を両立させることが難しいかがよく分かるだろう。しかし中村はそれを可能にするだけの潜在能力を持っていることは間違いない。これからも打撃に強い探究心を持ち続けて歴史に残る『打てる捕手』へ成長することを期待したい。