大学駅伝初戦の出雲は東海大が大差で決着 “2強の構図”も残り2戦は青学大優位か

石井安里

東海大と青山学院大が強さを見せつける

大学駅伝初戦の出雲駅伝は東海大が10年ぶり4度目の優勝を果たした 【写真は共同】

 10月9日に第29回出雲駅伝が行われ、学生三大駅伝が開幕した。ここから11月5日の第49回全日本大学駅伝、来年1月2日、3日の第94回箱根駅伝へと続いていく。6区間45.1キロと最も距離が短い初戦の出雲は、屈指のスピードを誇る東海大と、昨年度に史上4校目の駅伝3冠を成し遂げた青山学院大の2強対決となり、東海大が2時間11分59秒で10年ぶり4度目の優勝を手にした。

 昨年の春に高校のトップ選手が集結して話題を呼んだ東海大は、2年生になった彼らがチームの主軸に成長し、実に5人が今大会でメンバー入り。まずは、三大駅伝デビュー戦の阪口竜平(2年)が1区で区間賞を獲得して勢いに乗った。2区、3区では青山学院大に追い上げられ、3区終了時に5秒先行されたものの、4区の鬼塚翔太(2年)、5区の三上嵩斗(3年)、6区の關颯人(2年)が連続区間賞で、終わってみれば2位の青山学院大に1分33秒差をつける圧勝。大会歴代2番目の大差での決着となった。

 東海大が6区にエースの關を起用したことから、青山学院大としては先手を取りたかったが、1区で38秒差の8位と出遅れた。2区の田村和希は区間新記録で区間賞、3区の下田裕太は区間3位と、4年生のダブルエースは役割を果たしたが、東海大が一枚上だった。

日体大、順大が自分たちの駅伝に徹し好結果

日本体育大は5区、6区で順位を上げ、3位に入っている 【写真は共同】

 続いて、後半2区間で順位を上げた日本体育大が3位。2区終了時点で14位と遅れていた順天堂大も、3区で2016年リオ五輪3000メートル障害代表の塩尻和也(3年)が区間賞で流れを引き寄せ、最終的に4位に入った。この2校は、下馬評以上の順位を勝ち取ったといえるだろう。

 5位の東洋大は3区の山本修二(3年)、6位の神奈川大は1区の山藤篤司(3年)がそれぞれ区間2位で先頭争いをするなど、一度は見せ場を作った。一方で駒澤大が7位、中央学院大が8位、早稲田大が9位と、上位候補が振るわなかった。

 スタート時の気温が25度を超える夏日で、大会史上初めて2校が途中棄権する異例の事態。棄権に至らなくとも、脱水症状や体調不良を起こした選手が散見された。有力校がもたつくなか、東海大と青山学院大が力通りの強さを見せ、日本体育大と順天堂大はコンディションや他校の走りに惑わされることなく、自分たちの駅伝に徹したことが好結果につながった。

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著者プロフィール

静岡県出身。東洋大学社会学部在学中から、陸上競技専門誌に執筆を始める。卒業後8年間、大学勤務の傍ら陸上競技の執筆活動を続けた後、フリーライターに。中学生から社会人まで各世代の選手の取材、記録・データ関係記事を執筆。著書に『魂の走り』(埼玉新聞社)

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