大学駅伝初戦の出雲は東海大が大差で決着 “2強の構図”も残り2戦は青学大優位か

石井安里

全日本も引き続き2強対決か

青山学院大はエース一色の抜けた穴が大きい。東海大の選手層がそろったとしたら、全日本、箱根の連覇も厳しくなってくるだろう 【写真は共同】

 次戦の全日本大学駅伝は8区間106.8キロと、出雲より2区間増え、総距離も倍以上になるが、引き続き2強の優勝争いが予想される。東海大の両角速監督が「今大会は出番がなかった4年生や、地元出身の選手もいますので、プラスアルファの力で戦えると思います」と話すように、出雲ではメンバー外だった川端千都、國行麗生らチームをけん引してきた4年生、地元の三重出身ルーキー・塩澤稀夕らが控える。

 対する青山学院大は、昨年の出雲と全日本のアンカーで優勝に導いた一色恭志(現・GMOアスリーツ)の穴が大きい。田村と下田をはじめ、強力な3・4年生をそろえているが、柱となる選手、絶対的な存在が年々減っていることは事実。東海大が全日本でもアンカーに關を残しておくようなら、青山学院大の2連覇に黄信号が灯るだろう。

上位進出は調整遅れの選手の復調がカギ

青山学院大の原監督は、区間が増え、距離が伸びる箱根に自信 【写真は共同】

 3番手以降は混戦で、6位までに与えられる次回のシード権争いが注目される。

 出雲3位の日本体育大は、6月の関東地区予選会で落選したため不出場だが、関東勢が2強を含めて15校も登場。連続シードを目指す前回2〜6位の早稲田大、山梨学院大、駒澤大、中央学院大、東洋大の5校に、神奈川大、順天堂大などがひしめく。

 早稲田大は昨年も出雲で8位と苦戦しながら、全日本では青山学院大とアンカーまで優勝争いをした経緯がある。もともと実績のある選手が多く、今大会では3区で不調だった永山博基(3年)らが復調すれば上位進出は難しくない。

 出雲と同様に3年生以下の布陣で挑む東洋大、8月のユニバーシアード日本代表を2人ずつ擁する駒澤大と順天堂大がどんな戦いを見せるか。また、エースの鈴木健吾(4年)が出雲のメンバーから外れた神奈川大、出雲で5区まで4位につけていた中央学院大、10月14日の箱根駅伝予選会を経て全日本に臨む山梨学院大の3校は、故障で調整が遅れている選手の復帰がカギを握るだろう。

 箱根駅伝も選手層が厚い2強が優勝争いをリードするが、現段階では4連覇が懸かる青山学院大がやや優位か。距離が延び、区間数が増える箱根に、原晋監督も自信を持っている。東海大は今季前半、1500メートルを中心としたスピード強化に重点を置いた。また、主力選手は9月8〜10日に行われた日本インカレに向け、夏合宿では走り込みよりもトラックに照準を合わせたトレーニングをしてきたことから、全区間20キロを超える箱根向けには仕上がっていないのだ。両角監督も「箱根に向けてはもう1回、練り直さないといけない。出雲はトラックシーズンの余勢を駆っての駅伝でしたが、今のままでは箱根は勝負にならないでしょう」と慎重な姿勢を崩さない。箱根では長い距離を得意とする選手たちにも出番がまわってくるだろうが、チームとしては、全日本後にリセットして作り直していく。

 出雲の結果は全日本、箱根に直結しないことも多いが、2強の構図は残る2戦も変わりそうもない。ただ、3番手以下は、一戦ごとに勢力図が大きく変動していきそうだ。

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著者プロフィール

静岡県出身。東洋大学社会学部在学中から、陸上競技専門誌に執筆を始める。卒業後8年間、大学勤務の傍ら陸上競技の執筆活動を続けた後、フリーライターに。中学生から社会人まで各世代の選手の取材、記録・データ関係記事を執筆。著書に『魂の走り』(埼玉新聞社)

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