カタルーニャ独立がサッカーに与える影響 バルセロナの立場、その後の道のりは?
MLSとの関係を深めているバルセロナ
バルセロナは近年、米国のMLSとの関係を深めており、今夏にはニューヨークにオフィスも開設された 【Getty Images】
問題は、バルセロナはモナコとは異なる状況にあることだ。モナコはUEFAに加盟しておらず、独自の国内リーグも代表チームも持っていないため、スムーズにフランスリーグへの参入が認められた。だがカタルーニャには代表チームも独自のリーグも存在する。
バルセロナはこうした手続き上の問題に直面した際、米国のメジャーリーグサッカー(MLS)にフランチャイズクラブを作り、そこをトップチームの一時的な活動拠点とするのではないかといううわさもある。実際、近年バルセロナはプレシーズン中に行われている興行試合に参加する中で、MLSとの関係を深めてきた。今夏にはニューヨークにオフィスを開設している。このうわさ通りであれば、バルセロナは政治的な問題が落ち着くまで、トップチームの代わりにBチームをカタルーニャリーグでプレーさせる可能性がある。
何人かの専門家は、ジブラルタルのケースが重要な前例となる見方を示している。ジブラルタルは13年、RFEFの反対を受けながら、UEFAとスポーツ仲裁裁判所(TAS)によって54番目のUEFA加盟協会として認められた。当時、UEFAの会長を務めたミッシェル・プラティニは「UEFAは政治的目的に利用されてはならない」とRFEFに伝えるとともに、「UEFAには01年より、国際連合に加盟している国家のフットボール協会を受け入れることを義務付ける規則が存在する。ただ、ジブラルタルはこの規則がなかった97年に加盟申請していた」と説明している。
エル・クラシコは見れなくなってしまうのか――
カタルーニャが独立を宣言した場合、果たして何が起こるのだろうか 【Getty Images】
数カ月前まで存在した別の可能性は、バルセロナを含めた各国のビッグクラブがUEFAチャンピオンズリーグ(CL)とそれぞれの国内リーグから脱退し、独自のスーパーリーグを創設することだ。だが、UEFAの新会長に就任したアレクサンデル・チェフェリンが欧州クラブ協会(ECA)の主要クラブと和解し、18−19シーズンより、CLの出場国枠を改正したことで、ECAのスーパーリーグ構想は断念されている。
10月4日にカタルーニャが独立を宣言した場合、はたして何が起こるのだろうか。バルセロナ対レアル・マドリーの“エル・クラシコ(伝統の一戦)”は、もう見ることができなくなってしまうのだろうか。
今言えるのは、わずか数日後に起こり得るカタルーニャの独立に際し、フットボール界には心を痛める理由がいくつもあるということだけだ。
(翻訳:工藤拓)