常に危険な綱を渡るコナー・マクレガー 生活保護から1億ドル稼ぐファイターに
メイウェザーとの一戦を迎えるマクレガー。この試合のファイトマネーは1億ドル以上になるとみられている 【Getty Images】
そこからわずか4年、MMAファンとボクシングファン、そして普段は必ずしも格闘技ファンでない人までもが興味津々のビッグイベント、日本時間8月27日(日)に迫った『ザ・マネーファイト:フロイド・メイウェザーvs.コナー・マクレガー』に臨む。この試合におけるマクレガーのファイトマネーは、実に1億ドル(約109億円)を超えるとみられている。
不可能を可能にしてきたマクレガーの戦い
「UFC 194」(15年12月)でマクレガーは、ジョゼ・アルド(ブラジル)の持つUFCフェザー級タイトルに挑戦した。強さにますます磨きがかかっていたアルドは8年間(WEC時代から)無敗の絶対王者、弱点も見当たらず、さしものマクレガーも苦戦が予想された。しかしマクレガーは試合前、次のように大胆予告をしたのだ。
「アルドを1ラウンドで倒す。フィニッシュはKOだ。ヤツは右をぶち込んでくるつもりなのだろう。でもそれはヤツの終わりを意味する。右をぶち込んできても、オレはそこにはいない。ヤツはいきなり危機に陥る」
そして試合はまさに予言通りの展開となった。アルドが繰り出した1発目の右にカウンターを合わせたマクレガーが、わずか13秒でアルドを一撃KO。UFCフェザー級王者となったのだった。大きな話題を呼んだこの大会は、米国でペイ・パー・ビュー(PPV)を102万5千件(推定、以下同)売る大ヒットとなり、以降マクレガーのPPVが販売件数100万件を下回ったことはない。
史上初の2階級同時制覇を成し遂げる
UFC史上初の2階級同時制覇の偉業を成し遂げたマクレガー。常にリスクの高い戦いを求めてきた 【Getty Images】
それでもマクレガーはこの試合を強行、序盤からダウンを奪うなど果敢に攻め込んだものの、体格差に押されてスタミナを奪われ、第2ラウンドでの一本負けを喫してしまう。PPV売上は150万件を記録している。
両者の再戦は「UFC 202」(16年8月)で行われた。驚いたことにマクレガーは、再戦もあえてウェルター級で行うことを主張。ネイトも本来はライト級ファイターであり、しかも今回は減量の時間もたっぷりとあったにもかかわらず、である。ここで連敗となればまさに犬死に、無謀な挑戦とも思われたこの試合で、マクレガーはフラフラになりながらガッツあふれる試合で5ラウンドを戦い抜き、両者合計で330発のパンチが飛び交う乱打戦を判定で制した。PPV売上はUFC史上最大となる165万件を記録した。
マクレガーが高い人気を獲得した一番の理由は、マクレガーがこうして他の選手なら取らないリスクを取っているところにある。わざわざノックアウト予告をするのも、フェザー級タイトルを獲得したすぐ後にライト級タイトルを要求するのも、ネイトに負けた後、すぐに同条件での再戦を申し入れることもすべて、マクレガーはできるだけ“高い綱”を探して、わざわざその綱を渡ろうとするのだ。もちろん、落ちるかもしれない。だからこそ、誰もが目を離せなくなるのだ。
新たな冒険を求めてボクシングのリングへ
新たな冒険を求めてボクシングのリングへ。元5階級制覇王者のメイウェザーに対し「4ラウンド以内に倒す」と予告している 【Getty Images】
1階級上のチャンピオンを子ども扱いにして圧勝してしまう戦いぶりを見ていると、マクレガーにはもはや、UFCの中で追い求める冒険が残されていないことは明らかであるように思えた。
そしてマクレガーは、UFCの外に冒険を求めたのである。
PPV100万件ファイターであるマクレガーにふさわしい相手といえば、もはやフロイド・メイウェザー(米国)しか存在しなかった。
『猪木対アリ』がそうであったように、異種格闘技戦は通常、公平を期してミックスルールで行うものだ。しかしマクレガーはあっさり、相手の土俵であるボクシングルールでの試合を飲んだ。しかもボクシング戦績ゼロのマクレガーが、プロボクシング戦績49勝無敗のメイウェザーを相手に、「4ラウンド以内に倒す」と予告しているのである。マクレガーはまたしても、この上なく高い綱を渡ろうとしている。これは見逃すわけにはいかない。
マクレガーは最近、購入したヨットを『The 188』号と命名している。
UFC入りする前に受給していた生活保護の金額にちなんだものだ。「これからはMMAとボクシングの両方の世界を鉄拳で制圧していく」と語るマクレガーの冒険には、まだまだ続きがありそうだ。だからこそ、時に初心に立ち返る必要があるのだ。
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