早稲田実・清宮が見せるキャプテンシー 準決勝で因縁の難敵・八王子と激突

清水岳志

昨年の敗戦が最終学年の原点

高校通算106本塁打の主砲・清宮を中心に西東京大会準決勝まで勝ち上がってきた早稲田実。準決勝では昨年敗れた因縁の難敵・八王子と対戦する 【写真は共同】

 清宮幸太郎率いる早稲田実が甲子園に行くには因縁の難敵を倒さなければいけない。28日の準決勝は舞台も同じ神宮球場、昨年の準々決勝で敗れた八王子とのリベンジマッチとなった。

 昨年は4対6の惜敗だった。3点差の9回表の攻撃。1死一、三塁で清宮は大きなライトへの大飛球。犠牲フライになって1点は返したが、勝利にはつながらなかった。

「自分の最後の打球がスタンドに入っていれば同点になっていたんで……」

 ゲーム後、声を絞り出した。そこから清宮の高校野球、最終学年の戦いが始まった。原点はこの八王子戦にあると言っても言い過ぎではない。

筋トレの成果が出ている本塁打

今までセンターフライだった打球がスタンドへ飛び込むなど筋力トレーニングの成果が出てきたという清宮。ここまで4試合で打率5割8分3厘、3本塁打、9打点の成績を残している 【写真は共同】

「GO! GO! GO!」

 今年のチームのスローガンだ。体重5キロ増、投手の球速5キロアップ、野手の飛距離5メートルアップ。体幹、筋力トレーニングを練習に取り入れ、チーム全員でそれぞれの「5」を目標に励んできたのは知られた話だ。

 清宮の高校通算ホームランは106本。最多といわれる107本にあと1本というところに来た。この夏の西東京大会でも初戦の南平から芦花、法政と3試合連続で放つ。104号は初打席、105号は父親・克幸さんの誕生日を祝う最終打席に公式戦初の満塁ホームラン。106号は0対0の均衡を破る先制弾だった。価値のある枕詞の付くホームランばかりだ。

 清宮本人はたびたび、「こすった当たりだけど、ホームランになって良かった」と言う。完璧な打球ではないが飛距離が伸びているということだ。106号について、打球を追ったセンターは「普通のセンターフライだと思ったら、スタンドに入った」と言った。清宮もゲーム後のインタビューの中で「高校1、2年の時は入らなかった打球。トレーニングの成果が出ている」と解説した。

 スローガンは実を結んでいる。

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著者プロフィール

1963年、長野県生まれ。ベースボール・マガジン社を退社後、週刊誌の記者を経てフリーに。「ホームラン」「読む野球」などに寄稿。野球を中心にスポーツの取材に携わる。

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