早稲田実・清宮が見せるキャプテンシー 準決勝で因縁の難敵・八王子と激突
自分のホームラン記録は二の次
準々決勝の日本学園戦の7回、バントを併殺に仕留めた清宮。打撃だけではなく守備でもチームを引っ張っている 【写真は共同】
「去年、ここで負けてグラウンドに帰ってきた時の空虚感。抜け落ちた感じは嫌だよ。親御さんにもそんな報告はしたくないだろう」
日本学園との準々決勝の前日のミーティングで話したそうだ。
清宮のキャプテンシーがチームを引っ張る。法政戦は3回、先頭打者の清宮が下手投げ投手のスピードを殺したシンカーを引き付けて、タイミングを取り直してセンター越えの一発。主導権を握るホームランだった。
「清宮に対して相手チームは内外、高低と攻めてくる」(和泉監督)。
ヒットにできる甘いボールは多くない。準々決勝はホームランは出なかったが2四球を選ぶ。「厳しいボールが多かったが、四球も選べているので悪くない」という。4試合の成績は12打数7安打(打率5割8分3厘)、3本塁打、9打点。6四球を選んでいる。ホームランは自分の持ち味、というが、「ホームランを意識すると負けちゃうんで」と今大会、自分のホームラン記録は二の次だ。
まだつながりが出てきていない打線
「度胸がある。キャッチャー野村(大樹)のサイン通りじゃなくて自分で投げたいボールを投げてる。ピンチでも慌てないで落ち着いている」と和泉監督も信頼を寄せている。連打を許さず、四球で崩れることもない。ここまで31回を投げて3失点と抜群の安定感だ。まだ、登板していないピッチャーがいるというのはうれしい誤算だろう。
それとは逆に打線がまだ、本領のつながりが出てきていない。春の都大会決勝、日大三とは18対17という壮絶な打ち合い。このゲームが象徴するように打撃が活発なチームカラー。清宮も「連打がなく単発。ランナーが出たら、もっとつないで返していかないと」という。
打ち合って逆転でものにしたゲームも多かったが、夏の4試合でリードを許した展開がない。「こういうゲームができるようになったんですね。早実の新しい伝統にしようかな」と和泉監督。いろんなゲーム展開を経験できれば強みになる。
これで八王子とは3年連続で対戦することになった。1年時は準々決勝、11対5と快勝してそのまま甲子園に。そして昨年……。清宮は前日の練習やミーティングで過去の試合のことを引き合いに、仲間を鼓舞しているはずだ。
<了>