内藤哲也「一番の消化試合」飯伏に白星 新日本真夏の祭典「G1クライマックス」開幕

高木裕美

棚橋が伏兵ザックに屈辱のギブアップ敗け

棚橋はザック・セイバー・Jr.の腕攻めで無念のギブアップ 【写真:SHUHEI YOKOTA】

“復活のエース”棚橋弘至はザック・セイバー・Jr.に屈辱のギブアップ負け。古傷の右腕を徹底的に攻められ、今後のリーグ戦にも不安を残した。

 今年は1.4東京ドーム大会でついにメインイベンターの座から転落し、試合でも内藤に完敗。今年5月には米国遠征中に右上腕二頭筋腱遠位断裂の重傷を負うなど、一度は地に堕ちたエース。だが、6.11大阪城ホールでは内藤を破りIWGPインターコンチネンタル王座を奪還すると、7月15日に行われた記者会見では、来年公開の主演映画の製作と、8月15日にクランクインすることが発表され、一気に名実ともに新日本のトップへと返り咲きを果たした。

 07年、15年以来3度目の優勝を狙う棚橋は、ドラゴンスクリュー、ツイストアンドシャウト、スリングブレイド。ハイフライアタックとたたみかけるが、ハイフライフローをヒザ剣山で迎撃され、万事休す。

 初出場のザックは序盤から容赦ない右腕攻め。ジム・ブレイクス・アームバーで固めながら、右腕のテービングをはぎ取り、さらにあり得ない角度にねじ曲げていったため、棚橋がたまらずギブアップ。男としての意地よりも、この先のG1を生き抜くためにギブアップという道を選んだ棚橋だが、ザックはさっそくICベルトを手に挑発。厄介な男を調子づかせてしまった。

後藤が石井とのCHAOS対決に勝利

CHAOS同門対決は昨年準優勝の後藤が意地を見せ勝利 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 昨年準優勝の後藤洋央紀は、タッグパートナーでもある石井智宏とのCHAOS同門対決を制し、昨年の雪辱に燃えた。

 後藤は08年に初出場初優勝の快挙を果たしながら、その後は「G1のGは後藤のG」であることを証明できず。昨年は決勝まで進出しながらも、オメガに栄冠をさらわれ、ブレークのきっかけを与えてしまった。

 かつてはNEVER王座を争ったライバルでもある石井に対し、後藤は序盤からゴツゴツとした無骨なファイトを展開。まるで我慢比べのようなラリアット、エルボー、頭突きの応酬から、後藤が裏GTR、GTRとたたみかけて勝利。荒武者魂を見せ付けた。

真壁がファレに公式戦3連敗

真壁はファレにまさかの公式戦3連敗 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 知名度抜群の真壁刀義は、バッドラック・ファレにG1公式戦3連敗となった。

 いまや、“暴走キングコング”よりも“スイーツ真壁”の愛称がお茶の間に浸透中の真壁は、不屈の雑草魂で09年にG1初優勝。翌年にはIWGP初戴冠も果たした。
 そんな真壁だが、テレビなどのメディアへの露出が上昇するのと反比例して、リング上での存在感が減少。今年春の「NEW JAPAN CUP」も、「新日本プロレス、真壁刀義の名前を上げるために、さらにランクアップさせるために休ませてもらう」と、大河ドラマ『おんな城主 直虎』への出演を優先させた経緯もある。

「最近、イライラが止まんねぇ。一つ一つの試合を勝ち取って、G1 CLIMAXの頂をテメェでゲットしなきゃ、プロレスラーじゃねぇわ」と、G1での巻き返しを誓っていた真壁だが、ファレには15年&16年のG1公式戦で連敗中。この苦手意識を払拭すべく、真壁は序盤から真っ向勝負を挑むも、ファレがパワーで終始圧倒。真壁も起死回生のキングコングニードロップで勝負をかけるが、ファレにつかまり、グラネードに撃沈。悪夢の3連敗で、8年ぶりVに暗雲が漂った。

G1卒業宣言の永田は黒星スタート

最後のG1と宣言している永田は出し惜しみなく必殺技を繰り出すが、初戦は黒星となった 【写真:SHUHEI YOKOTA】

「今年限りでのG1卒業」を宣言した49歳の永田裕志は、今年で2回目の出場となるYOSHI-HASHIに敗れ、無念の黒星スタート。01年以来、16年ぶりの優勝は、予想以上に険しい、いばらの道となった。

 永田は今年、史上最多となる19回連続出場を果たしながら、後進に枠を譲るため、20の大台を前に「最後の夏」にすることを決意。その気迫を証明するかのように、マジックスクリュー、エクスプロイダー、フロントスープレックス、白目式腕固めなどを惜しみなく繰り出し、15分超えの熱戦となるも、YOSHI-HASHIのカルマに撃沈。敗れてもなお、客席からは温かい拍手が贈られた。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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