内藤哲也「一番の消化試合」飯伏に白星 新日本真夏の祭典「G1クライマックス」開幕

高木裕美

Bブロックは王者3人を擁し大混戦必至

 なお、Bブロックは7.20東京・後楽園ホールにて公式戦がスタート。IWGPヘビー級王者オカダ・カズチカをはじめ、NEVER無差別級王者・鈴木みのる、IWGP USヘビー級王者ケニー・オメガと、シングル王者3選手を擁する同ブロックでは、初戦でいきなりの大注目カードが実現する。

 みのるvs.オメガは待望の初対決。鈴木軍大将として「すべてのお宝」を狙うみのると、昨年、史上初の外国人王者に君臨し、四半世紀に及ぶG1の歴史に風穴を開けたオメガ。両者とも今年、オカダのIWGP王座に挑戦しながら、激闘の末に敗れており、G1優勝の副賞である「1.4東京ドーム大会でのIWGP王座挑戦権利証」は何が何でも手にしたいところだ。

 昨年の覇者であり、現US王者であり、いまや世界中から注視される存在となったオメガは、全選手の標的とされることが確実。オメガは昨年のG1決勝戦で、シットダウン式ラストライド、フェニックススプラッシュといった飯伏の必殺技を出して、飯伏へ無言のメッセージを送っており、今年、G1決勝戦という最高の舞台で、かつての盟友との3度目の一騎打ち実現を果たした上で、蝶野正洋(91&92年)、天山広吉(03&04年)に続く、史上3人目の2連覇を達成したいところだ。

 一方、約2年間に渡りノアの緑のマットを蹂躙し続け、今年1月に鈴木軍を引き連れて舞い戻ってきたみのるにとっても、3年ぶりのG1は絶好のチャンスだ。鈴木軍での「お宝総獲り」を予告しながら、現在、手元にあるのはみのるのNEVER王座のみ。今回のG1でセコンドをうまく活用し、立ち回ることで、新たな抗争の火種をくすぶらせ、一気にタイトル挑戦&獲得の流れに持ち込む可能性もある。

 また、同い年(49歳)で、アマレス時代から犬猿の仲である永田裕志が「G1卒業宣言」をしたのも、みのるにとっては“燃料投下”の材料といえるだろう。

 両者は前哨戦となった7.20札幌でも激しい場外戦を展開。バレットクラブのボスvs.鈴木軍の大将というリーダー対決としても、単なる公式戦の枠を超えた、今後の新日本の勢力図争いをも左右する一戦といえる。

 IWGPヘビー級王者のオカダにとっては、12年、14年以来3年ぶり3度目の優勝は、IWGP王座V8以上に困難な闘いとなるかもしれない。

 世界中から絶賛された今年の1.4東京ドーム大会でのオメガ戦をはじめ、長時間に及ぶ激闘を制し、これまで7度の王座防衛に成功してきたオカダ。これまで、IWGP王座挑戦を願いながらも叶わなかった者たちにとっては、オカダの首を刈れば、王座挑戦へ最短ルートでたどり着くことができる。あの手この手で3カウントを狙われるオカダにとって、もっとも厄介な相手、それが、初戦で迎え撃つCHAOSの同門・矢野通であろう。身内としては頼れる存在だが、敵に回すともっとも厄介な存在である矢野。開幕戦でも、オカダのレインメーカーをかわして髪の毛をつかんで倒したり、背後から金的攻撃を見舞ったりと、正攻法が通用せず。股間を押さえたまま悶絶する、情けない姿をさらすハメになったオカダにとって、G1初戦での二の舞は何が何でも避けたいところだ。

 さらにオカダには、7.22後楽園でマイケル・エルガン戦、7.25福島ではSANADA戦と、大物食いを得意とする「ポイントゲッター」との戦いが続く。また、7.27長岡では、かつてIWGP王座を争った小島聡と対戦。エルガン、SANADAと、いずれも首への攻撃を得意とする選手との連戦の後で、小島のラリアット弾を耐え抜くことができるのか。世界にカネの雨を降らせると宣言したオカダにとっては、今年の夏はプロレス界のエースとしての正念場となるだろう。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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