広島の新監督ヤン・ヨンソンとは何者か? 特徴は若手の積極起用と「4−4−2」

鈴木肇

若手を積極的に登用、時間をかけてチームを構築

ハクサバノビッチ(左)ら若手を積極的に登用、じっくりと時間をかけてチームを構築していくスタイルを好む 【Getty Images】

 じっくり時間をかけてチームを構築し、若手を積極的に登用するやり方はヨンソンの大きな特徴といえる。

 たとえば、05年に監督就任したスターベクでは、当時2部リーグに所属していたチームを1年で1部に昇格させ、06年に5位、07年に2位と徐々に順位を上げていき、08年にはクラブ史上初となるリーグ制覇を成し遂げた。

 若手の抜てきという点に関しては、今シーズンの開幕当時、ハルムスタッドの選手の平均年齢が22.92歳だったことからも分かる。クラブの財政事情もあったのだろうが、若手を積極起用しようというヨンソンのスタイルが表れている。

 その例が、18歳のセアド・ハクサバノビッチだ。ヨンソンはハルムスタッドの監督に就任した直後、下部組織に所属していた当時15歳のハクサバノビッチをトップチームに昇格させる。ハクサバノビッチは翌年にリーグ史上2番目の若さでトップチームデビューを果たし、現在は背番号10をつけて攻撃をけん引している。6月に自身のルーツであるモンテネグロ代表でデビューしたため、スウェーデン代表でプレーする機会はなくなったが、同じ99年生まれのアレクサンデル・イサク(ドルトムント)と並んでスウェーデンサッカーの将来を担う逸材として期待されていた。

「渡り歩いてきたクラブで若手を起用してきた。スターベクの監督に就任した当時、チームは2部に降格したばかりで財政的に厳しかったため、若い選手の活用に力を入れた。ローゼンボリでもそうだった。(クラブの事情があったとはいえ)私は若手を登用するのが好きだし、それを信じている。若手の起用は健全的だと思う」とヨンソンは語っている。

 現在の広島は立て直しが急務であるため、ヨンソンがすぐに若い力を取り入れるかどうかは未知数だ。しかし、長期的にチームを指揮することになるのであれば、広島の登録メンバーの平均年齢が今よりも下がったとしても不思議ではない。

「攻撃的なサッカーに少しずつ変えていく」

26日のルヴァン杯プレーオフから広島の指揮を執るヨンソン監督はチームを立て直すことができるか? 【(C)J.LEAGUE】

 ヨンソンは広島でどんなサッカーを見せてくれるのだろうか。

 ローゼンボリでは2年連続でリーグ3位とまずまずの結果を出し、12−13シーズンのヨーロッパリーグ出場権を獲得したにもかかわらず、「サッカーが攻撃的ではない」という理由で解任された。直近のハルムスタッドでは、戦力が充実していないという事情もあってか、リアクションサッカーに終始した。

 一方、スターベクでリーグ優勝したとき際は娯楽性に溢れるパスサッカーを披露し、「ノルウェーでは滅多に見られないスタイル」と絶賛された。ヨンソンは広島の監督就任会見時に「攻撃的なサッカーに少しずつ変えていかなければならない」と語っている。もともと広島は選手の駒がそろっているチームであることを考えると、観客を魅了するサッカーが展開されるのでないか。

 では、システムはどうか。

 先述したように、ヨンソンは現役時代、ホジソンの下で「4−4−2」システムでプレーしていたというバックグラウンドがある。ベンゲルも長い間このシステムにこだわりを持っていた。実際、スターベク時代は中盤の4人をフラットに並べた2トップを採用していたし、直近のハルムスタッドでもやはり「4−4−2」ベースのチーム作りをしていた。

 オーレスンでは「4−2−3−1」と「4−3−3」を併用し、ハルムスタッドでも一時3バックに挑んだこともあったが、就任会見時でも2トップと4バックへの移行をほのめかしていただけに、ヨンソンの代名詞といえる「4−4−2」を採用する可能性が高い。

 ヨンソンにとって2度目となるJリーグで、どのような采配を見せてくれるのか。そして降格の危機にさらされている広島をどう立て直すのか。これから注目していきたい。

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著者プロフィール

1978年生まれ。埼玉県出身。1994年米国W杯で3位入賞したスウェーデン代表に興味を持ち、2002年日韓W杯ではデンマーク代表の虜になり、スカンジナビアのサッカーに目覚める。好きな選手はイェスペア・グロンケア。自身のブログ(http://www.plus-blog.sportsnavi.com/swe1707/)でスカンジナビアのサッカー情報を配信中。

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