ハンドボール女子日本選手権 大阪体育大学は準決勝で力尽きる 激しいコンタクトで体力消耗

大阪体育大学
チーム・協会
 第76回日本ハンドボール選手権大会(女子の部)は12月21日(土)、福井県あわら市のトリムパークかなづ多目的体育館で準決勝が行われた。大阪体育大学は28―31(前半15―12)でブルーサクヤ鹿児島(ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング)に敗れて4年ぶり3回目となる決勝進出を逃し、悲願の初優勝は果たせなかった。
 決勝は22日(日)午後2時、香川銀行と鹿児島が対戦する。香川銀行にはメンバー16人中大体大卒業生が8人、鹿児島は5人がプレーする。

【大阪体育大学】

◆激しいコンタクトで体力を失う
 前半は、エース石川空選手(体育4年・大分鶴崎)に頼った前日とは違い、左サイドから福井すみれ選手(体育4年・名古屋経済大学市邨)が、右サイドから吉野珊珠選手(体育4年・同)が再三、シュートを決めた。GK比嘉楓選手(体育3年・那覇西)が2度の7mスローなどで好ブロックを連発。3点リードの15―12で前半を折り返した。

福井すみれ 【大阪体育大学】

 しかし、楠本監督には不安があったという。リーグH(日本リーグ)勢との試合が続き、前日の熊本ビューストピンディーズ戦では濵口まお選手(体育4年・四天王寺)らが何度も相手ディフェンスに阻まれてひっくり返され、床に体を打ちつけた。大学同士の試合とは段違いの激しいコンタクト。準決勝段階の疲労度は、インカレと日本選手権ではまったく違う。ハーフタイム。楠本監督は「足で守らないと、3点差なんてすぐ追いつかれる。ここは気力の勝負や」と選手を送り出したが、その足がピタッと止まった。

比嘉楓 【大阪体育大学】

 21―18の後半12分からオフェンスミスが相次ぎ、3連続失点で同点。流れを変えようとタイムアウトを取ったが、さらに2連続失点。ようやく吉野選手のシュートが決まったが、また3連続失点。あっという間に大差がついた。
 前日の準々決勝で、楠本監督は福井選手らをほぼフルで起用した。本当は休ませたかったといい、1年生を起用する手もあった。しかし、今季最後になるかも知れない試合は4年生で行きたい思いがあったという。「監督ではなく教育者になってしまったのが自分の弱さの部分」と振り返った。

濵口まお 【大阪体育大学】

◆「先輩に憧れるな」
 鹿児島はメンバー16人中5人が大体大の卒業生だ。試合前、楠本監督は「大谷翔平さんではないが、相手に憧れたり先輩と思ったりすると、気持ちで負ける。あなたたちは先輩ではなくソニーと戦うんだ」と選手を送り出した。それでも、卒業生の笠井千香子選手に5得点、服部沙紀選手に4得点を許した。楠本監督は「先輩たちの意地を感じた」と話す。決勝に進んだ香川銀行も16人中8人が卒業生。大体大にとって、日本選手権は先輩との闘いの場でもある。

吉野珊珠 【大阪体育大学】

◆4年生から3年生へのエール
 石川選手は試合後も涙が止まらなかった。「卒業生の方に自分たちの弱いところを突かれた。楠本先生にたくさんの勉強をさせていただいて、最後、先生を胴上げして恩返しをしたかった」と声を振り絞った。石川をはじめ脚の痛みがありながら8点を挙げた福井選手、5得点の吉野選手ら4年生は、学生最後の試合で十分健闘した。楠本監督は「毎年そうだが、この4年生の頑張りが3年生をはじめ後輩へのエールだと思う」
 年明けには、新チームが始動する。3年生の比嘉選手は「インカレの11連覇、日本選手権の2年連続ベスト4をつないでいかないといけない。『12』にプレッシャーを感じている」。たすきは3年生につながれた。

石川空 【大阪体育大学】

  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

新着記事

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント