【ボクシング】先陣切る三浦、亀海は4階級制覇コットと激突 アメリカで世界挑戦を控える両雄がエール交換

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7月と8月にアメリカで世界挑戦を控える亀海(右)と三浦がエールを交換 【(C)NAOKI FUKUDA】

 元WBC世界スーパー・フェザー級チャンピオンで現1位の三浦隆司(33=帝拳)は7月15日(日本時間16日)、米国カリフォルニア州イングルウッドで同級チャンピオンのミゲール・ベルチェルト(25=メキシコ)に挑む。
 その42日後の8月26日(日本時間27日)、同じ帝拳ジム所属の亀海喜寛(34)がWBO世界スーパー・ウェルター級王座決定戦で世界的なスター選手、4階級制覇の実績を持つミゲール・コット(36=プエルトリコ)と拳を交える。こちらはカリフォルニア州カーソンでの試合となる。
 ふたりには強打とエキサイティングな戦いぶりに加え、近年は海外での試合が多いという共通項がある。先陣をきる三浦、あとに続く亀海。普段から情報交換をするという両雄に、それぞれの素顔、今回の試合にかける意気込みなどを聞いた。

亀海「三浦の魅力はウェルター級並みのパンチ力」

WBO世界スーパー・ウェルター級王座決定戦で世界的スター選手、4階級制覇のミゲール・コットと対戦する亀海喜寛 【(C)NAOKI FUKUDA】

――ふたりは帝拳ジムで初めて会ったのでしょうか。

亀海 初めて会ったのは帝拳ジムですが、自分が(帝京)大学時代に国体の試合会場で(高校時代の)ボンバーの試合をみてスカウトしようと思い、(三浦の)関係者に「うちの大学に来ませんか」と聞いたことはあります。そのとき、もうプロに行くつもりだと聞いたので断念しました。

三浦 そうなんですか? 知らなかった。初めて聞きました。

亀海 アマチュアだったけれど、スゴいパンチ力の子がいるなと。相手を吹っ飛ばしたり倒したり、そのころからボンバーはボンバーでした(笑)。

――亀海選手は三浦選手のことを普段、何と呼んでいるんですか?

亀海 普通に「ボンバー」って呼んでいますよ。その呼び方がしっくりくるので。

――三浦選手が最初に会ったころの亀海選手の印象は?

三浦 会う前から亀海さんのことは知っていて、センスがあってパンチもある強い人だなと思っていました。雲の上の存在でした。でも、会ってみたら話しやすい人でした。自分と空気が似ているのかな?

亀海 エー、似てる〜?(笑)

三浦 似てないですか? 気をつかわなくて話しやすいんですよ。

――亀海選手から見た三浦選手は、どんな人なのでしょうか。

亀海 ボンバーは試合の入場のときは殺気立って白目になっているんですよ。だから「気合入り過ぎて白目になっているぞ」とか言ってからかっています。でも、ボンバーはそんなことをなんとも思わないタイプですね。普段は素朴で穏やかですよ。ただ、試合が近づいてくると気合入れて練習しているので、気をつかわせないために近づかないようにしています。

三浦 ボクサーは試合が近づくとナーバスになるので。試合が決まっていないときは楽しく話をしますが、追い込んでいるときは自分もなるべく話しかけないようにはします。

――一緒に食事をすることもあるのでしょうか。

三浦 まだ、ないかな?

亀海 あるよ。大阪に行ったとき、ボンバーがどうしても串カツを食べたいと言うので行ったじゃん。

三浦 ああ、山中さん(WBC世界バンタム級王者の山中慎介)の試合のときでしたね。

――山中選手も8月15日に13度目の防衛戦が決まりました。刺激になるのでは。

亀海 自分の試合が決まっていないときは別ですが、決まってからは自分のことでいっぱいいっぱいですね。試合に刺激されるというよりも、練習に打ち込む姿に燃えるものをもらいますね。

三浦「亀海さんは気持ちもフィジカルも強い」

日本時間7月16日にアメリカのカリフォルニア州イングルウッドで同級チャンピオンのミゲール・ベルチェルトに挑む三浦隆司 【(C)NAOKI FUKUDA】

――三浦選手から見た亀海選手は、どんなボクサーですか?

三浦 海外で試合をするようになってから特に気持ちが強くなり、フィジカルも強くなったと感じました。ボディブローが強く、相手のスタミナや体力を削ってしまう展開が多いですよね。

――ふたりは階級が違うのでスパーリングをしたことはありませんよね。

亀海 自分がゲレロ(元世界4階級制覇王者のロバート・ゲレロ)と試合をする前、マスボクシングに近いかたちでスパーリングをやったことがありますが、ボンバーのパンチは並みのウェルター級選手よりもありました。重いパンチをイメージしていたんですが、堅くて鋭いうえにスイング・スピードも速い。そのパンチを8オンスのグローブでスーパー・フェザー級の選手が仮に頭に受けたとしても効いてしまうと思います。やっぱりボンバーの魅力はパンチ力ですね。

――三浦選手が3試合、亀海選手は8試合。ふたりとも海外での試合経験が豊富ですが、海外で戦ううえでのプラス面と注意点はどんなところでしょうか?

三浦 初めてメキシコに行ったときは時差ボケで眠れなかったし、日本と違う部分がありました。そういうところは気をつけないといけないと感じました。でも、良い試合をすれば評価してもらえるので、それはプラスですね。

――亀海選手の場合は半分、ホームがアメリカ西海岸になっていますね。

亀海 時差や気候が日本とは違うので調整が難しいところはありますね。計量後にコンディションが安定しないということもあって、より安定し易いようにスーパー・ウェルター級に上げたという事情もあります。だから渡米初の試合が今回のような大舞台ということは考えられないですね。ボンバーが言ったように、良い試合をすればお客さんの反応がすごく、会場も湧く。そこが最高です。

――ふたりは誰が見ても分かりやすく、観客を楽しませてくれる戦闘スタイルですね。

三浦 ファイト・スタイルが受け入れてもらえているのかなとは思いますが、その分、ヘンな試合をしたら非難を浴びますから。

――7月15日(日本時間16日)、三浦選手がベルチェルトと対戦します。亀海選手、どんな展開を予想しますか?

亀海 相手が強くてもボンバーはパンチがあるので、仮に劣勢でも一気にひっくり返すことができる。加えてハードワークで培ったスタミナもある。ハートが強いうえ、倒して勝つ可能性が高いので試合が面白いですよね。ベルチェルトはガードを固めて手数で攻めてくる、やりにくいタイプですが、仮にガードを固めていてもボンバーが側頭部にでも当たれば効いて、一気に展開が変わる、あるいは決めてしまうんじゃないでしょうか。

――なぜ、三浦選手は並外れたパンチ力があるのでしょうか。

三浦 ボクシングを始めたころから倒すことを考えてやっていたからでしょうかね? 「ボクシング=倒す」と思ってやっていたので、それが生きているのかも。

――8月26日(日本時間27日)、亀海選手がコットと対戦します。三浦選手、どんな展開を予想しますか?

三浦 コットは自分がボクシングを始めるかどうかというころから見ていたスーパースターなので、亀海さんはそんな選手と戦うんだからすごいですよね。とにかく、ものすごく興奮するカードです。コットは巧く戦おうとしてくると思いますが、それを亀海さんのフィジカルとパワーが押し込めるんじゃないかと思います。

――では、まずは先陣をきる三浦選手に亀海選手からエールを。

亀海 もう、けっこう前にボンバーとは(今回の試合の)話し合いをしたし、意見交換もしているんですよ。ドーピング・チェックのことなども話したし。伝えることは伝えたので。そしたら「ボンバー!」と返事が来たので大丈夫でしょう(笑)。あとは腹をくくってボンバーをかますだけですね。

――では、三浦選手から亀海選手にエールを。

三浦 ボンバー!(笑)

亀海 ボンバーにはいろんな意味があるんですよ。たとえば「ありがとう」とか「すみません」とか。自分には分かります(笑)。


■三浦隆司(帝拳)                     
1984年5月14日、秋田県生まれの33歳。アマチュアを経て03年にプロデビュー。09年に日本スーパー・フェザー級王座を獲得。13年4月、WBC世界スーパー・フェザー級王座を獲得し、4度防衛。身長169センチのサウスポー。36戦31勝(24KO)3敗2分。

■亀海喜寛(帝拳)                     
1982年11月12日、北海道生まれの34歳。アマチュアを経て05年にプロデビュー。10年に日本スーパー・ライト級王座、13年に東洋太平洋ウェルター級王座を獲得。身長175センチ。アメリカでの8戦を含めた戦績は32戦27勝(24KO)3敗2分。

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★「生中継!エキサイトマッチ 三浦隆司 世界王座再挑戦」
【放送日】7月16日(日)午前11:00〜[WOWOWライブ]※生中継
ゲスト:村田諒太(帝拳)

<WBC世界S・フェザー級タイトルマッチ>
[王者]ミゲール・ベルチェルト(メキシコ)
[挑戦者]三浦隆司(日本/帝拳)

★「生中継!エキサイトマッチ 世界初挑戦!亀海vs4階級制覇王者コット」
【放送日】8月27日(日)午前11:00〜[WOWOWライブ]※生中継

<WBO世界S・ウェルター級王座決定戦>
ミゲール・コット(プエルトリコ)
亀海喜寛(日本/帝拳)
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