中日・小笠原慎之介インタビュー「2年目だからという甘い考えはない」
6月16日の西武戦では菊池雄星と投げ合い、8回5失点で敗戦投手に。しかし10三振を奪うなど力投し、森監督は「すがすがしい試合だった」とたたえた 【写真:BBM】
“ゼロ”からのスタート
――オフの左ヒジクリーニング手術から復帰し、ここまで6試合に先発しました。率直な手応えはいかがでしょうか?
手術したことで、“ゼロに戻った”という感じはします。昨季に投げた感覚とは全然違う。左ヒジがきれいになった分、ボールのかかりも違いますね。
――左ヒジがきれいになったこと自体はプラスなのでは?
プラスに捉えないといけないですけど、どうしてもおかしいな、というところはあります。真っすぐがマッスラ気味になってしまったり……。そういうことはこれまでなかったですから。でも、いろいろな人に話を聞いたんですけど、「感覚は変わってしまうものだよ」と言われましたね。
――6月16日の埼玉西武戦(ナゴヤドーム)では復帰後最多の129球を投げましたが、肩やヒジに影響は?
全然ないですね。
――現在は100球が交代の目処?
だと……思います。特に言われているわけではないですけど、大事にしてもらっているなとは感じます。
――小笠原選手自身はもうちょっと行けるという思いも?
行けるんですけど、ケガ明けですし、そうなるのは仕方ないと思いますね。
――手術後、最も感覚が変わった部分は?
自分の中では普通に投げられているつもりなんですけど、周りで見ていた人に「全然違うね」と言われることがあるんですよね。スローで映像を見ると、やっぱりリリースする位置が以前とは違う。それはマッスラするよね、と。自分では去年と同じようにしているつもりなんですけど、多分、気持ちで抑えてしまっているんじゃないかと。
――まだ恐怖心が……。
怖さはあるんじゃないですかね。僕としてはもうないと考えているんですけど。
――昨年11月に手術をし、今年2月のキャンプでブルペン入り。3月には実戦で147キロをマークしました。回復は順調のように見えたのですが。
ボールを投げるまでは順調だったんですけど、投げ始めてから、思うように投げられなかった部分はありますね。ボールを投げられるようになってからが難しかったです。あれ? となるときのほうが多かったですね。
――ストレートはマッスラ気味になってしまうということでしたが、変化球は?
去年秋のキャンプではカーブを多く練習していて、普通に投げられるだろうと思ったんですけど、まったく感覚が違いました。ましてやヒジがきれいになった分、腕の位置が上がっていますからね。その点でも全然違うのかなと。簡単に言えば、自分のヒジではなくなっている、という感じですかね。
――投手としてはかなりストレスを感じるのでは?
それはありますけど、「痛い、痛い」と感じながら投げるのか、痛みをなくして万全の状態で投げるかの二択でしたから。どちらかを選ぶのなら、ヒジを万全にして腕を思いっ切り振ったほうが、僕の持ち味である真っすぐが投げられるだろうと考えました。
――6月9日のオリックス戦(京セラドーム)では、チェンジアップで多く空振りを奪いました。
やっと良くなってきましたね。それまでは全然でした。「もうちょっと前で離したいのに、なんでここで離れるんだ」という感覚で。オリックス戦は感じ良く投げられて、自分でもびっくりしました。でも、真っすぐとチェンジアップだけじゃ勝てないなと、あらためて思いました(5回2/3、2失点で勝ち負けつかず)。
――打者があれほどバットを振るということは、ストレートと同じフォームで投げられているのでは?
腕をしっかり振れていたのかな、と思いますね。これまではそれができていませんでした。
――昨季と比べて奪三振が増えていますね。
それ……僕もどうしてか分からないんですよね(笑)。自然と増えているので。決め球になっているのはチェンジアップがほとんどなんですけど、自分でもなんでこんなに三振が取れるんだろうという感じですけど。
――三振にこだわりは?
まったくないです。ただ単に、真っすぐで空振りを取りたいという意識だけ。三振自体にこだわりはないですね。
――そういった意味では、ボールのレベルは上がっているのでは?
だんだんと良くはなっていると思います。後は自分の感覚とのズレを調整して、求めているところに自分の体が来てくれればいいですね。