古閑美保さんが語るメジャー大会の心得「米国もまだまだ技術が大事な世界」
「全米女子プロゴルフ選手権 KPMG女子PGA選手権」の見どころを日本ツアー元賞金女王・古閑美保さんに聞いた 【写真提供:WOWOW】
昨年はブルック・ヘンダーソン(カナダ)が、リディア・コ(ニュージーランド)とのプレーオフを制し、18歳でメジャー初制覇。大会史上最年少優勝を達成している。
今年はイリノイ州オリンピアフィールズCCが決戦の場所に。大会を放送するWOWOWでは、08年の日本ツアー賞金女王・古閑美保さんが現地リポーターとして解説を務める。今回は現地へ訪れる古閑さんに、メジャー大会の意義や大会見どころなどを聞いてみた。
メジャーは「全部がそろわないと勝てない」
前回大会はブルック・ヘンダーソンが史上最年少となる18歳でメジャー初制覇 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】
メジャーは選手の気合いの入り方が違いますよね。それは全員に共通することだと思います。
――選手にとっては特に「勝ちたい試合」ということですね。
やっぱりメジャーというのは、全部がそろわないと勝てないもの。もちろん、ほかのトーナメントが違うというわけではないですけど、メジャーというのは重圧も違ってきます。最終日の15番ホールぐらいから、「やばい、上位だ……」と。重圧を感じない選手もいるかも知れないですけど、賞金も高いですし、セッティングも難しい、距離も長くて、フェアウェイもタイト、グリーンも硬くなっていて、自然と重圧を感じるものです。
そういう意味でメジャーに臨むときというのは、意気込みが違います。
――「全部がそろわないと勝てない」ということですが、具体的にはどのあたりですか?
技術と体力ですね。体力が持たないと集中力が持たないですし、やっぱり腕がないとうまくいきません。それに続いて精神面もですけど、これはメジャーであるというプレッシャーが出てきたときに必要になります。
私が初めてメジャーで勝ったとき(07年11月の国内女子メジャー「LPGAツアーチャンピオンシップ」)は、最終日の17番でトップに立ったのですが、そこから体が動かなくなって、「あ、私、メジャーを感じてるな……」って思いながらプレーした記憶があります。
結局、試合に入っていくときは、メジャー大会だと意気込んで入りますが、試合が始まると1打1打に集中するわけです。ただ優勝が見えてくると、そこで(重圧が)顔を出してくるのが、メジャー大会ならではだと思います。
――優勝する選手は「これが入るのか!」というようなスーパーショットを見せることも良くありますよね。そう考えると“運”のようなものも重要?
運というのは、みんな平等にあるものですよ。ただゴルフは4日間続くので、流れはあります。その1打で本当に生き返ったりもしますけど、運では片付けられないかなと思います。やっぱりメジャーはうまい人でないと勝てません。
技術がある人が結局は強い
元世界女王のオチョアもメジャー制覇には時間がかかったが、それでも技術ある選手はメジャーも取っている 【写真:ロイター/アフロ】
そこはやっぱり技術の差じゃないですかね。コースセッティングもありますけど、技術がないと絶対に勝てません。2日間ぐらいはたまたまうまくいくときもありますけど、やはり4日間続かせるには技術がないと無理です。
元世界ランキング1位のアニカ(・ソレンスタム/スウェーデン)やロレーナ(・オチョア/メキシコ)もそうですけど、やっぱり技術がないと勝てないですし、逆にロレーナはメジャーを勝つまでに時間がかかりましたけど、最終的には勝っていますからね。そこは“縁”みたいなものです。
ナンシー・ロペス(米国/1970〜80年代に活躍したプレーヤー)は、すごく縁がないときもありましたよね(※通算48勝のうち、メジャーは全米女子プロの3勝のみ)。それこそ(上田)桃子も国内ツアーで12勝もしているのにメジャーは取っていないし。ゴルフ人生の中で「取りたい」という強い気持ちはみんなあるけど、取れない選手もいますね。不動(裕理)さんも何十勝もして、賞金女王になってからメジャーを取りましたよね。(※03年の日本女子プロゴルフ選手権が初優勝)
ですから結局、強い人は取るんです。
――そこはメジャーのプレッシャーも関係してくるのでしょうか?
不動さんも初めてメジャーを取った後には、何勝かしてますからね。逆に、初優勝がメジャーだった鈴木愛ちゃん(14年の日本女子プロゴルフ選手権で初優勝、16年も同大会で優勝)とかは、ある意味、ご縁があるのかもですね。