【マッチレポート】JR東日本カップ2024 第98回関東大学サッカーリーグ戦・2部リーグ第3節

チーム・協会

先週Jデビュー&プロ初ゴールを果たした慶應義塾大・塩貝健人(横浜F・マリノス内定)がこの試合でも1ゴール2アシストの活躍 【©JUFA】

山梨学院大学が無傷の3連勝で首位を堅持。“早慶戦”を制した慶應義塾大は勝点2差で首位を追う

 『JR東日本カップ2024 第98回関東大学サッカーリーグ戦』【2部リーグ】第3節は、4月28日(日)に全6試合が行われた。

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 全国大会の優勝経験のある強豪の早稲田大学、順天堂大学、法政大学が未勝利のまま第2節を終えるなど、波乱の幕開けとなった2部リーグ。そんな中、唯一の全勝チームである山梨学院大学は、1勝1分グループの3位・産業能率大学と対戦。試合は終始山学大が産能大を圧倒し、開始早々の6分には斎木大和が相手のルーズなボールを奪いペナルティーエリア内に侵入。そのままゴール右隅にシュートを決めて山学大が先制する。山学大は36分にも原田蓮斗が相手のクリアボールを拾い前線にパス。これを南雲俊冶がゴールに突き刺して追加点。2-0とリードを広げた。山学大は後半の56分にも斎木のスルーパスに抜け出した中田開人が技ありのシュートでネットを揺らしダメ押しの3点目。山学大が3連勝で首位をキープした。対する産能大は90分を通して放ったシュートはわずかに1本と、打開策を見いだせないまま完敗を喫した。

危なげない試合運びで産業能率大学に完勝。首位をキープした山梨学院大 【©山梨学院大学サッカー部】


 ライバル校同士の“伝統の一戦"で知られる早稲田大学と慶應義塾大学の対戦、いわゆる“早慶戦"。今年、慶大が2部リーグに昇格したことで実現したリーグ戦での“早慶戦"は、独特な熱気に包まれてスタートした。「前の2試合に比べると、なかなか思い通りにはいかなかった」(慶大・中町公祐監督)というように、どちらかといえば早大ペースで始まった試合は、思わぬ形で慶大が先制する。5分、ハーフウェーライン近くまで上がっていた慶大GK・村上健にDFからボールが渡ると、村上はすかさず左足を振り抜いてロングシュートを放つ。「始まってからずっと相手キーパーの位置を見ていて、ここで思い切って振り抜いていいのかな、と思った」(慶大・村上)というシュートは折りからの風にも運ばれ、早大GKの頭上を越えてゴールネットを揺らす。「試合前、チャンスがあったら打っておくかな、みたいな話はしていたんですけど。味方も驚いていたみたいで、得点後もあまり(喜んで)駆け寄ってくれなかった」(村上)。しかしこのゴールで落ち着きを取り戻した慶大はその後の早大の攻撃に冷静に対応すると32分、塩貝健人がゴール前のドリブルでチャンスを作り、最後は角田惠風が冷静にシュートを放ち追加点。0-2で試合を折り返した。後半、主導権を握った慶大は59分に茅野優希、そして79分にはこの試合2アシストの塩貝がダメ押しのゴールを決めて4-0に。早大もアディショナルタイムの90+3分、駒沢直哉が1点を返すもこれ以上点差を縮めることはできず試合終了。伝統の“早慶戦"第一幕は、慶大が1-4で快勝。首位との勝点2差をキープした。一方の早大は今節も初勝利ならず、11位に沈むこととなった。

ライバル・早稲田大に大勝を収めた慶應義塾大 【©JUFA】

アディショナルタイムに駒沢直哉のゴールでかろうじて1点を返した早稲田大だが…… 【©JUFA】


 勝点2差で首位を追う4位・立正大学は初勝利を目指す9位・立教大学の一戦は立正大が前半のうちに2点を先取する。20分、立正大は多田圭佑の右からのパスを、中村優斗が体勢を崩しながらも押し込んで先制。さらに10分後の30分、今度は中村のクロスに多田が頭で合わせて追加点を挙げる。立教大は開始早々にDFの磯部裕貴が負傷。急遽、橋本悠雅が投入されるなどのトラブルもあり、なかなかチャンスを作れないまま前半を終えた。だが後半の70分、立教大は嵯峨康太のコーナーキックを小林慶太が右足で押し込んで1点を返す。しかし立教大の反撃はここまで。立正大が前半に挙げたリードを守り2-1で勝利。3位に浮上し、慶大とともに首位・山梨学院大学との勝点2差をキープした。

多田圭佑・中村優斗のコンビで挙げた2点を守りきった立正大 【©立正大学体育会サッカー部】


 前節、“昇格組対決"で城西大学に黒星を喫した神奈川大学。今節は未だ勝利がなく11位に沈む順天堂大学をホームに迎えての対戦となった。前半はどちらもシュートゼロという低調な滑り出し。後半に入っても双方決定機を作ることができず、このままスコアレスで終わるかと思われた。だが、アディショナルタイムに突入した90+5分、カウンターからチャンスを作った順大がコーナーキックを獲得。岩井琢朗のキックに高木駿が頭で合わせてネットを揺らす。終了間際の劇的なゴールで順大が待望の初勝利を挙げ、11位から6位へと大きくジャンプアップ。神大はホーム2連敗となった。

アディショナルタイムの劇的なゴールで待望の初勝利を挙げた順天堂大 【©順天堂大学蹴球部】


 連敗でまさかの最下位となった法政大学と6位・日本体育大学の試合は、どちらもチャンスを決めきれないまま0-0で後半へ。後半は法大がやや優勢に試合を進めるも、76分、日体大はカウンターからチャンスを作るとGKの弾いたボールを宮下菖悟が押し込んで先制。このゴールがそのまま決勝点となり0-1で日体大が2連勝を収めた。一方の法大はこれで3連敗となり、今節も最下位脱出とはならなかった。

 ともに連勝を狙う拓殖大学と城西大学の一戦。唯一、16:30キックオフとなったこの試合、先にスコアを動かしたのはホームの拓大だった。20分、田鎖勇作のロングキックに鈴木斗真が反応。ペナルティーエリア内でボールを収めると、そのまま切り返しで相手DFをかわしゴール左隅にシュートを突き刺す。1点を追う城西大は後半、アグレッシブに拓大ゴールを狙うが決めきれず、逆に58分、GKが拓大・小泉龍之介を倒してペナルティーキックを献上。拓大はこれを三浦敏邦が決めてリードを2点に広げる。城西大はその後も佐藤遼らを中心に攻めるが拓大ゴールを割ることなく試合終了。2-0で拓大が勝利し、黒星スタートを払拭する2連勝で一気に4位へと浮上した。

3試合連続ゴールを決めた拓殖大・三浦敏邦。試合を決めるペナルティーキックを冷静に沈めた 【©拓殖大学麗澤会体育局サッカー部】



 山梨学院大学が今節も快勝し、連勝を3に伸ばして首位を堅持。一方、2位の慶應義塾大学も“ライバル"早稲田大学を大差で下し山学大との勝点2差をキープ。立正大学も3位に浮上し、同じく勝点2差で首位を追う。また黒星スタートとなった拓殖大学は2連勝で4位に浮上。白星がなく降格圏内に沈んでいた順天堂大学も待望の初勝利で一気に6位へと浮上した。一方、立教大学、早大、法政大学は今節も初勝利ならず、下位グループからの脱出は叶わなかった。

 次節、第5節は5月5日(日)に全6試合を実施。首位・山梨学院大学の連勝は続くのか、そして法政大学、早稲田大学、立教大学の初勝利なるのか。注目の一戦だ。
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著者プロフィール

一般財団法人関東大学サッカー連盟は、関東地域における大学サッカーの水準向上と普及、加盟チーム相互の親睦共励、そして広く社会に貢献できる学生を育成することを目的に、1924年に創設されました。主要大会のひとつである『関東大学サッカーリーグ戦』では関東7地域から36大学が参加し、1部~3部のカテゴリーで熱戦を繰り広げています。近年は日本代表にも多くの選手を輩出するなど、通年でレベルの高い試合を展開しています。また主管大会として、大学の日本一を決める『全日本大学サッカー選手権大会』(インカレ)などの全国大会も実施しています。

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