気概を見せたアロンソのインディ500 今宮純のザ・ショウダウン

F1速報

エンジン音が一瞬“悲鳴”に

アロンソは残り50マイル届かずエンジントラブルでリタイア 【LAT】

 なおも仕掛ける。今度は抜いた。最後のステージに残るメンバーは二人のほか数人だけに絞りこまれた。そして168周目、最後のピットストップ(通常30〜33周スティント)。ここから500マイルレース舞台の「おおとり」スプリント競演スタート。

 アロンソがベテランのトニー・カナーンをアウトからパス、彼の得意技をやってみせたルーキーに観客がどよめく。その直後だ。先頭集団7番手にいた彼のエンジン音が4コーナーで一瞬“悲鳴”に変わった。すぐ左側にスローダウン、レーシングラインを自ら外し安全地帯を選んで止めた。潔いF1チャンピオンの振る舞いに見とれる大観衆……。

 アロンソはレース後に「あの(カナーンをパスする)前からエンジンの感触に変化を感じていた」と語った。チームメートに比べ決勝日わずかにレスダウンフォース設定にしたアロンソは、最終局面で直線スピードに賭けていた(と思う)。そこに加わるまで彼のホンダエンジンはもたなかった。あと50マイル、でもまだ佐藤がいる。

 立ちふさがるマックス・チルトン、カストロネベスをかわした佐藤は最速ラップ39秒7896(226.190MPH)を記録。シボレーの強豪カストロネベスを0.2011秒差に従え、栄光への500マイルを堂々と勝ち抜く。スペイン人より先に、日本人の佐藤が初めて覇者となった第101回インディ500、これで2年連続F1ドライバーが制した。

 こうした「国際モータースポーツ・交流レース」がいまこそ望まれるのではないか。アロンソのインディ冒険に、先駆者としての気概を感じた。付け加えるなら60年までのように、インディ500をF1シリーズ戦に含めたらどうか。他に誰も出なくても、レーサーたるアロンソは第102回にもきっと行く気だろう。

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