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攻守の肝は日本が誇る“Wレフティー”
U-20W杯に臨む21名を徹底紹介 MF編
今回は攻守の舵取り役となる中盤の選手たちを紹介
今回は攻守の舵取り役となる中盤の選手たちを紹介【写真:田村翔/アフロスポーツ】

 5月20日に開幕するFIFAU−20ワールドカップ(W杯)。10年ぶりのアンダーエイジ最高峰の大会に臨む内山篤監督率いるU−20日本代表は、3年後の東京五輪において「U−23」となる五輪のターゲットエイジでもある。


 今回はそんなチームの選手個々にフォーカス。ポジションごとに全員を紹介していきつつ、代表チームの各ポジションの役割や予想される先発メンバーについても占っていきたい。第2回は中盤のポジション、攻守の舵取り役となる選手たちを紹介する。

ボランチは得手不得手の異なる3人が選出

数々の世界大会を経験しているキャプテンの坂井(右)
数々の世界大会を経験しているキャプテンの坂井(右)【写真:田村翔/アフロスポーツ】

10 坂井大将(大分トリニータ)

16 原輝綺(アルビレックス新潟)

17 市丸瑞希(ガンバ大阪)


 センターバックを除いた各ポジションについて、内山篤監督はタイプの違う選手をそろえるという選考のコンセプトを持っているように見える。言ってみれば、「みんな違って、みんないい」とも表現できる考え方だ。中央のMF、俗に言うボランチのポジションについても、得手不得手の異なる3人が選ばれている。


 キャプテンを務める坂井大将(大分)はこの年代を代表するエリート選手だ。2014年のW杯ブラジル大会では日本代表のサポートメンバーとして帯同したほか、2つ年長に当たる前回のU−19日本代表(アジア予選で敗退)では左サイドバック(SB)のレギュラーとしてプレー。また13年のU−17W杯にも出場しており、このチームにおいては、世界大会を知っている稀少な選手でもある。そうした経験値の多さが最大の強みである。


 ピッチ上のリーダーであり、監督とのパイプ役も務めるキャプテンは、安定した技術と運動量で勝負するタイプのボランチ。167センチと上背に欠けるため、守備のパワー勝負となると難しいが、勘の良いポジショニングからのインターセプトも光る。守備的な選手とも攻撃的な選手とも組めるバランス感覚の良さも特長だ。所属の大分で出場機会を失っていたことが不安要素だったが、大会を前に徐々に出番を増やしての合流となったため、本人も「少しホッとしました」と手応えをつかんだ流れからの世界舞台となる。

原は今季加入したばかりのルーキーながら、新潟でボランチのレギュラーとして活躍している
原は今季加入したばかりのルーキーながら、新潟でボランチのレギュラーとして活躍している【写真:田村翔/アフロスポーツ】

 初戦で坂井の相方となる有力候補は原輝綺(新潟)だ。メンバー入りしたのは昨夏と遅かったものの、堅実で実効性のあるプレーの継続力を示し、瞬く間に指揮官の信頼をつかんだ。アジア予選ではDFもこなす守備力を買われ、守備固め要員のような起用法だったが、市立船橋高からJリーグ入りした今季は開幕からボランチのレギュラーとして活躍。3月のドイツ遠征では持ち前のクレバーなプレーに加えて、屈強な外国人選手を相手に一歩も引かぬタフネスも示し、レギュラー候補に浮上してきた。


 所属チームではドイツ遠征後からチーム事情でSBに回ることになっており、本人もボランチとのプレー感覚の違いを不安要素に挙げていた点は少し気掛かりなところ。15日のホンジュラス戦(3−2)でも、判断が遅れるようなシーンが目に付いただけに、開幕までにボランチの感覚にアジャストすることが求められる。

最も「ボランチ」という言葉がしっくりくるゲームメーカータイプの市丸(左)
最も「ボランチ」という言葉がしっくりくるゲームメーカータイプの市丸(左)【写真:田村翔/アフロスポーツ】

 最後の1人、市丸瑞希(G大阪)は最も「ボランチ(ポルトガル語でハンドルの意味)」という言葉がしっくり来るゲームメーカータイプ。内山監督の言葉を借りれば、「テンポを作れる選手」であり、本人も「パスにはこだわりがある」と語る。弱点と言われていた対人守備についても、本人がプロ入り後から意識的に改善へ取り組んでおり、確実に向上してきた。


 中盤でボールを動かせなくなったときや、試合のテンポをスローにして落ち着かせたいときに途中交代で市丸を投入するのは、このチームの1つの形となっている。逆に先発で使う場合は、立ち上がりから明確にボールの支配率を上げたい狙いがある場合といえる。

川端暁彦
川端暁彦
1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。フリーライターとして取材活動を始め、2004年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。創刊後は同紙の記者、編集者として活動し、2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月からフリーランスとしての活動を再開。古巣の『エル・ゴラッソ』を始め、『スポーツナビ』『サッカーキング』『サッカー批評』『サッカーマガジンZONE』『月刊ローソンチケット』など各種媒体にライターとして寄稿するほか、フリーの編集者としての活動も行っている。2014年3月に『Jの新人』(東邦出版)を刊行