攻守の肝は日本が誇る“Wレフティー” U-20W杯に臨む21名を徹底紹介 MF編

川端暁彦

サイドハーフとして先発濃厚な堂安と三好

16年10月のアジア予選ではMVPにも輝いた堂安。ホンジュラス戦でも質の高いプレーを見せた 【写真:FAR EAST PRESS/アフロ】

7 堂安律(ガンバ大阪)
8 三好康児(川崎フロンターレ)
11 遠藤渓太(横浜F・マリノス)
18 高木彰人(ガンバ大阪)


 4−4−2システムを採用する今回のU−20日本代表において、攻守の戦術的な肝となるポジションが中盤の両翼、サイドハーフだ。このポジションの先発に名を連ねそうなのは日本が誇る“ダブルレフティー”堂安律(G大阪)と三好康児(川崎)だ。

 16年10月に行われたアジア予選でMVPに輝いた堂安は、今季からG大阪のトップチームでも本格的に存在感を見せ始めた。「自分の調子はいい」と明言するとおり、先のホンジュラス戦でも質の高いプレーを披露。「いまは『自分が自分が』となりすぎないようにしている」という意識から、的確にボールを離して動き直すプレーもさえており、持ち味である左足のキックやドリブルといった個人技をかえって際立たせるようになっている。「結果を残して世界にアピールしたい」という野心溢れるレフティーは、最高の状態で世界大会に挑むことになりそうだ。

 この堂安と組む三好の動きにもキレがあった。抜群のテクニシャンとして幼少期から全国にその名が知れていた選手だが、ボールを受ける動きが格段に良くなってきており、ホンジュラス戦でも外に張った位置を基本としつつ、機を見て中に入りボールを引き出して起点となるなど、ポジションの役割をしっかりと消化。得意のドリブルからの仕掛けで脅威となった。一方で、シュート精度に課題もある。

 2人ともいわゆるハードワーカータイプではないだけに、攻撃で「違い」を作っていけるかがポイントだ。また、指揮官はこの2人のどちらかを前線で使って攻撃に専念させるといったオプションも用意している。

久保建英とも相性の良い遠藤。先発の可能性も充分にある 【写真:田村翔/アフロスポーツ】

 この2人より序列が下がると見られていた遠藤渓太(横浜FM)だが、ここにきて先発の可能性もあるほど評価を上げてきている。堂安や三好がトップ下タイプの攻撃的MFであるのに対し、遠藤は根っからのサイドハーフ。ランニングプレーで労を惜しまず、ボールを持てばドリブルで仕掛けて切り崩し役になる。FW久保建英(FC東京)とも相性が良く、3月に行われたU−20ドイツ代表との試合では、2人の関係性だけで敵陣を鮮やかに切り裂き、久保のラストパスからゴールを奪ってみせた。スーパーサブとしての起用が濃厚だが、久保を先発で使うなら、遠藤も先発という選択肢も出てくるかもしれない。

 また「まったく自信がなかった」というセットプレーのキックも今年に入ってさえており、4月のジェフユナイテッド千葉との練習試合ではFKを直接突き刺し(“人生で初めて”だったそうだが)、直前のホンジュラス戦ではCKからゴールをアシストしている。

指揮官は高木を「アグレッシブさを期待しているし、精神的な落ち着きがある」と評価 【写真:アフロ】

 そしてサイドハーフ最後の1人は、森島司(サンフレッチェ広島)が負傷離脱したために急きょ追加招集となった高木彰人(G大阪)だ。サイドハーフの選手の中では最も身体的に恵まれており、セットプレーの守備でも戦うことができる。外国人選手を相手に戦った経験が豊富なのも魅力といえるだろう。指揮官は「アグレッシブさを期待しているし、精神的な落ち着きがある」と評価。サイドハーフであると同時にFWのサブでもある高木は切り札的な起用になりそうだ。

 内山監督は世界大会に向けて「押し込まれる時間が長くなることも覚悟している」と語っていたが、押し込まれるばかりでは勝機もない。世界の強国相手に日本の売りでもある中盤で、どこまで渡り合えるか――。大きな注目ポイントとなるのは間違いない。

<FW編につづく:5月19日掲載予定>

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著者プロフィール

1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。フリーライターとして取材活動を始め、2004年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。創刊後は同紙の記者、編集者として活動し、2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月からフリーランスとしての活動を再開。古巣の『エル・ゴラッソ』をはじめ、『スポーツナビ』『サッカーキング』『フットボリスタ』『サッカークリニック』『GOAL』など各種媒体にライターとして寄稿するほか、フリーの編集者としての活動も行っている。近著に『2050年W杯 日本代表優勝プラン』(ソル・メディア)がある

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