予選無失点も、真価が問われる守備陣 U-20W杯に臨む21名を徹底紹介 GK&DF編
「東京五輪世代」であるU−20日本代表。今回は大会の行方を大きく左右する守備陣にフォーカス 【写真:田村翔/アフロスポーツ】
今回はそんなチームの選手個々にフォーカス。ポジションごとに全員を紹介していきつつ、代表チームの各ポジションの役割や予想される先発メンバーなどについても占っていきたい。まずは後方のポジション、GK・DF陣の10名を紹介する。
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“GKチーム”として世界の舞台を戦い抜く
小島はビルドアップにしっかり絡める足元の技術があり、キャッチングの安定感もある 【写真:田村翔/アフロスポーツ】
12 波多野豪(FC東京)
21 山口瑠伊(FCロリアン/フランス)
5月11日から始まった合宿において、最大の注目ポイントはこのポジションにあったかもしれない。
1次予選から最終予選にかけて、常にU−20日本代表の正GKを務めてきた小島亨介(早稲田大)が4月の関東大学リーグ開幕を前に足首を負傷。幸いにも重傷ではなかったものの、復帰のタイミングがやや遅れており、合宿も別メニュースタートとなっていたのだ。
小島は1997年1月30日生まれ。FIFA(国際サッカー連盟)の大会は1月1日を年齢の区切りとしているため、ギリギリでターゲットエイジとなった。U−17年代から日本代表入りしてきた選手だが、名古屋グランパスU18からトップチームへの昇格は見送られ、大きな挫折を味わった過去もある。ただ、日本サッカー協会からの評価は高く、早稲田大への進学後も継続して代表チームに招かれ続け、1次予選から正GKとしての地位を譲らず、最終予選まで無失点というチームの記録に大きく貢献している。
現代的なGKらしいビルドアップにしっかり絡める足元の技術があり、キャッチングの安定感もある。一方、あこがれの選手にはイタリアのレジェンドGKジャンルイジ・ブッフォンを挙げており、大学進学後は特に「GKとして大事なのは、何より失点しないという結果」とシュートストップに強くこだわり、技を磨いてきた。世界大会はそうした積み上げの集大成となりそうだ。心配された負傷の影響、特にキックについては本人も不安があったと言うが、15日に行われたホンジュラスとの親善試合(3−2)で実戦復帰。まだ試合勘が戻っていない部分もありそうだが、「リーダーシップが大事になる」というコーチングの部分も含めて、守護神の復活は大きい。
フランス人の父を持つ山口はその伝手をたどって高校1年のときに渡仏。以降は現地でプレーを続けている 【写真:田村翔/アフロスポーツ】
波多野の魅力は日本人には珍しい197センチの高身長という圧倒的なポテンシャルにある。技術的には粗さもあるものの、周囲はこの1年間での成長スピードを評価している。一方、山口はフランス人の父を持ち、そのつてをたどって高校1年生の途中から渡仏して現地でプレーを続けているという異色のキャリアの持ち主。技術的に進歩したことに加えて、海外の選手のリズムや当たり、戦い方に慣れていることも代表では武器となる。「ライバルというより、GKみんなでチームとして戦い抜く」と意欲的な山口。“GKチーム”として世界舞台を戦い抜くことを目指す。