日本代表が勝ち抜くためのポイントは? ラグビーW杯の対戦相手が決定
世界屈指のハーフ団が試合をコントロール
アイルランド代表の司令塔、ジョナサン・セクストン 【写真:ロイター/アフロ】
いずれにせよ、アイルランド、スコットランドともに日本と同じくNZ出身のヘッドコーチが、従来のFWを軸とした戦いに、ボールを展開するラグビーもプラスすることで、世界ランキングを上げてきた。その両チームのアタックを、日本代表は激しく前に出るディフェンスでどこまで止められるか。ジョセフHCは「ディフェンスは課題。(欧州のチームは)特にセットプレーからサイズ、パワーを生かしてアタックしてくるので、2年間でそのあたりのDFをやっていきたい」と先を見据えた。
またアイルランドにはSHコナー・マレーとSOジョナサン・セクストン、スコットランドにはSHグレイグ・レイドローとSOフィン・ラッセルといった世界屈指のハーフ団がいる。ゲームをコントールする選手を自由にさせてしまうとペースを握られるため、しっかりとプレッシャーをかけたい。日本代表の元主将・リーチ マイケルを筆頭に布巻峻介、徳永祥尭、今後、代表資格を得るヴィリー・ブリッツらFW第3列の活躍が欠かせない。
どの試合も負けられない戦いとなるため、一気に陣地が回復できる、15年W杯の日本代表の時のFB五郎丸歩のようなロングキッカーもほしいところ。ヤマハ発動機のFBゲラード・ファンデンヒーファーのような選手がいれば心強いのだが……。もちろん、勝利のためには日本代表のプレースキッカーがしっかりとPGやゴールを決めることも必須だ。
スクラム、ラインアウトの強化は不可欠
日本代表、サンウルブズのスクラムを指導する長谷川慎コーチ 【写真:アフロ】
「15年のW杯、日本代表のスクラムが安定していたのが大きな強みになった。(マルク・)ダルマゾコーチがしっかりジャパンのスクラムを構築し、14年の終盤から15年にかけて成長した。我々にとっても今後のチャレンジは同じ」(ジョセフHC)
元日本代表PRでヤマハ発動機のスクラムを強くした長谷川慎コーチが、日本代表だけでなくサンウルブズも指導し、ジョセフHCは「昨年11月からだいぶ成長した」と満足げ。またラインアウトからのモールDFに関しては「そのエリアは私の担当。私の仕事です」とキッパリと言い、「セットプレーには特効薬はない。このまま努力しないといけない。これからも強化し続けることが大事」と続けた。
W杯に出場する選手を見極める段階に
スコットランド代表の精神的支柱でもあるSHグレイグ・レイドロー 【写真:ロイター/アフロ】
11年W杯で対戦したように、トンガはW杯では違ったチームになってくるが、サンウルブズなどで南アフリカ勢との経験豊富な選手が多い日本代表にとっては、もう、その圧力に簡単に屈することはないはずだ。アタックでトライを取り切り、セットプレー、DFで我慢すれば勝機はある。サモアが来た場合は、15年W杯と同じように、ハーフ団のキックで相手を背走させるシーンを増やしてペースを握りたい。
スコットランドは、普通にボールを回している攻撃はさほど脅威ではないが、モールやラインアウトを起点としたアタックは強力。SHレイドローのキックも正確だ。15年W杯の時は南アフリカ戦の後、日本代表は中3日で戦ったが、19年はコンディションを整えることさえできれば、接戦に持ち込むことができるはず。またグラスゴー・ウォーリアーズ(スコットランド)で実績を出した新指揮官の手腕も問われるはずだ。
プールA最大の難関はもちろんアイルランドだ。6月にも国内で日本代表と2試合戦うアイルランドはアタックの決定力もあり、DFも固く、セットプレーも安定しており、なかなか隙が見当たらないチームである。日本代表にとって、アイルランドよりどこか一つでも二つでも上回ることができる要素やエリアがあれば、勝機を見出すことができるか。
日本代表にとってうまく戦わないと1勝3敗もありえるが、4勝を目指しつつ、やはり3勝1敗として2位でプール通過を目指すのが現実的だ。そのためには「経験値の高い選手はあと2年間、戦い続けることができるか、そして若手はこのレベルで戦えるか見極めてから、構想を固めていきたい」と指揮官が言うように、今年が終われば、軸となる選手もある程度固定して戦うことになろう。
ジョセフHCは15年W杯経験者、そしてサンウルブズで伸びている選手、そして若手にチャンスを与えつつ、W杯で勝てるチームを目指して邁進(まいしん)していく。