子供たちに「急がば回れ」を教えられるか スペイン暮らし、日本人指導者の独り言(18)
勝利への最短距離を突っ走りたい子供たち
Bチームを指揮したのはスクールの校長。彼も勝ちたいからロングボールのパワーサッカーを仕掛けてきた。それが功を奏したわけで子供たちがあれを勝利への近道、と思わないか心配だ 【木村浩嗣】
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だが、これが子供たちのコンペティティブさの反発を買った。
彼らは勝ちたい。勝利のためにはボールロスト時のリスクが少ないからスローインは前のスペースへ投げ込んだ方がいいし、GKへバックパスなんて危なっかしくてやってられない。私は監督だから、例えオウンゴールになり、それで負けたとしても、将来性のあるプレースタイルが身に付いた方が良いと思うが、子供たちの方は目先の勝利の方が優先である。そもそも勝つためにGKへのバックパスも後ろへのスローインも避けてきたし、それで結果を出してきたのだ。今さらその逆をやれと言われても……ということだろう。
GKへのバックパスの練習はしても試合やミニゲームでは、私の指示を無視しやらない。バックパスの方が勝てる、と彼らが納得するには時間が必要だ。幸いスペイン、セビージャの有名なお祭り(「聖週間」と「ラ・フェリア」)のせいで週末に公式戦は組まれておらず、コンペティションを忘れて練習に集中できる状況にある。勝利への最短距離を突っ走りたい子供たちに、日本風の「急がば回れ」を教えられるだろうか?