求められる“常識の打破”と“想像力” 2017年ダービー戦線予想のヒント

皐月賞に見る今年の潮流

十分な攻防、時計ともにアルアインに文句なし! 【写真:中原義史】

 その皐月賞ですが、ファンディーナが外枠の馬から被されるように好位に押し込まれ、1000m通過は59秒0ですからやや落ち着いたラップですが、向正面で内をペルシアンナイトのデムーロがスイスイと上がっていき、後方に控えた有力各馬はおのおのの思惑で内外のコースを通って進出。3角では内目のアルアインが弾き飛ばされるようになって反応が鈍りながら、直線スパッと抜け出して叩き合いを制してレースレコード。

 1番人気を裏切ってしまったファンディーナとて、あれだけ厳しいレースを強いられ、直線馬群に沈んだかと思ったら、コンマ5秒差の7着に踏ん張ってみせたのですから、改めて潜在的な能力を示したな、と。

 これらは十分な攻防と言え、時計にケチをつけるところもなし。共同通信杯馬に本命を打ち、弥生賞馬に対抗を打った筆者は、ですから予想的には完敗だったわけですが、いいレースだった、と感じています。

 ところがところが、上位馬が従来のパターンを逸脱していたことで、もうひとつ不満を抱いている皆さんもいらっしゃるかも。そういう方達には、また別の視点が用意されているかもしれません。

 先に書いた通り、今年は従来の傾向とはちょっと違う潮流が見られているのです。

レーヌミノルもそれまでの“常識”をあざ笑うかのような桜花賞勝利だった 【スポーツナビ】

 例えば桜花賞を制したレーヌミノル。小倉で新馬を勝って小倉2歳Sを連勝。その後、重賞で2、3、4、2着の成績で桜花賞を迎えます。着順を見ると立派な成績でしたが、桜花賞では8番人気に甘んじていました。

 それは小倉デビューの牝馬が、善戦はするものの距離を延ばすに従って結果が出せなくなっている、すなわち“早熟馬”にカテゴライズできるタイプだったからでしょう。

 それをレーヌミノルは覆した。常識的な発想をあざ笑うかのように。

 また別の例を挙げますと、皐月賞1、2着のアルアイン、ペルシアンナイトは池江寿厩舎。実はこの皐月賞の同厩舎によるワンツーは、1963年の尾形藤吉師以来54年ぶりの快挙でした。

 これもまた今年の皐月賞が記録的にレアであり、凝り固まった考え方では対応できなかった。そう捉えることはできませんか。

キーワードは“常識の打破”?!

 結論として、今年の春のクラシックの大きな潮流を示すキーワードは“常識の打破”、いわゆるパラダイムシフトが求められるのかもしれません。

 馬券をイメージする際のヒントも、案外そのあたりに隠されていそうです。

 ひとつ仮説を挙げるとすると、「ダービー馬は皐月賞組以外から出る」とか。

 これ、皐月賞前にレベルを疑っていた方達や、レース後にも首を傾げている皆さんには結構な支持を受ける可能性もありますが、では、どこにそういう馬が潜んでいるのか?

 例えば、毎日杯で2着に敗れダービー一本に絞ったサトノアーサーとか、同じ阪神の芝Aコースで、毎日杯を上回る時計で未勝利を脱出し、2400mのアザレア賞を連勝し、青葉賞に出走予定のアドミラブルとかとか……。

 そうサトノの場合、池江寿厩舎ですから、もし上位3頭独占なんてことになったら、これもまた超レアなケースとして記録されることにはなります。今年のトレンド的にはピッタリだったりして?

 いや、しかししかし、そうは言いながらも基本スタンスはなかなか変えられないもの、と考える方もいらっしゃるでしょう。かくいう筆者もそのひとり。

 牡馬戦線を中心に取り上げてきましたが、クラシック第2弾は、自分自身の予想スタンスといかに向き合うか、そして最も重要な“想像力”が、例年以上に問われる戦いになりそうです。

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著者プロフィール

中央競馬専門紙・競馬ブック編集部で内勤業務につくかたわら遊軍的に取材現場にも足を運ぶ。週刊競馬ブックを中心に、競馬ブックweb『週刊トレセン通信』、オフィシャルブログ『いろんな話もしよう』にてコラムを執筆中。

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