【WSH】小笠原慎之介を獲得
AP通信(https://apnews.com/article/shinnosuke-ogasawara-nationals-contract-223e392331bdef78db50d992fc82b301)によると、契約は2年350万ドルで、ポスティングフィーとして70万ドルをドラゴンズに支払うため、ナショナルズの負担額は総額420万ドルとなる。年俸は1年目が150万ドル、2年目が200万ドルとなる。
球団にとっては2005年の大家友和以来2人目の日本人選手となる。また、アジアからFAでの直接移籍は球団史上初。これまでアジア市場に絡んでこなかったナショナルズが獲得したことの意味も大きいだろう。
第2の今永になれるか
※リンク先は外部サイトの場合があります
小笠原の4シームのIVB(ホップ変化量)19.1インチはMLBでもトップクラスの数値(MLBに移籍するとボールの関係で変化量は落ちる)であるが、平均球速は89.8マイルで、比較される今永(24年=91.7マイル)よりも1.9マイル遅い。今永よりも球威の面では劣るようだ。
変化球はナックルカーブ、チェンジアップ、スライダーをそれぞれ15%前後ずつ投じるが、米媒体から最も評価されているのはチェンジアップだ。Baseball AmericaのスカウティングレポートではチェンジアップのみがMLB平均である50評価を受けている。
日本ではナックルカーブ&スライダーも決め球として機能していたが、MLB基準で見るとどちらも球速不足で空振りを奪えるかは未知数だ。
先ほど引用した記事では、小笠原をベテラン左腕のタイラー・アンダーソン(昨季179.1回/防御率3.81で球宴選出)と比較している。アンダーソンは平均89マイルという低球速ながらホップ変化量の大きい4シーム、上質なチェンジアップ、コントロールの良さで打者を打ち取る技巧派左腕だ。
FanGraphsによると、昨季120イニング以上投げた投手で、小笠原の平均球速89.8マイルを下回っていたのはアンダーソンとカイル・ヘンドリクスだけ。21年以降の4シーズンで、小笠原より遅い平均球速で規定投球回を達成したのは8人のみである。つまり、小笠原の球速帯でMLBで先発として成功するのは簡単ではないということだ。
下の画像はアンダーソンの昨季の投球コースを表したヒートマップである。4シームを高めに、チェンジアップを低めに、徹底して投げ分けることができているのがよく分かる。アンダーソンが89マイルという平均球速で成功している要因の一つはこのコマンド能力の高さだろう。
アンダーソンの投球マップ (Baseball Savantoより引用) 【ハーパー】
どうなる?ローテーション争い
【ハーパー】
①ゴア:昨季チームトップのWARを記録した若きエース左腕
②アービン:昨季リーグ5位の187.2回を消化するなど2年目でブレイク
③ウィリアムズ:オフに2年1400万ドルで再契約のベテラン
④ソロカ:昨季リリーフで好投し、オフに900万ドルで契約
⑤パーカー:昨季新人でローテーションを回した若手左腕
⑥ハース:昨季中盤に昇格すると好投した有望株左腕
という具合だ。ウィリアムズ以外は20代で、若い選手が多い。
昨季チームNo.1,2の活躍を見せたゴアとアービン、FAで小笠原よりも高額で入団したウィリアムズとソロカの4人はローテーション当確状態であり、小笠原は残り一枠を争うことになる。
パーカー&ハースは2人とも昨季実績を残しており、厳しい競争になるだろう。だが、幸いにもナショナルズはリリーフが手薄(昨季のリリーフ序列上位4枚が退団)である。先発ローテーションに残れなくてもリリーフでロースター入りできる公算は大きいだろう。
ナショナルズサイドから見た小笠原
また、リリーフの駒が圧倒的に足りていないので、先発として上手く行かなかったとしてもリリーフとして潰しが効く。小笠原の契約規模(2年350万ドル)を考えれば、ロングリリーフ~ミドルリリーフ程度の働きをしてくれればチームとしては十分である。
現実的には故障者が出ない限りはブルペンで開幕を迎えることになるだろうが、1年間開幕ローテの5人で回せるチームなんてない。必ず先発の機会が回ってくるはずだ。20年ぶりとなる日本人ナショナルズ戦士の活躍を期待したい。
長文をお読みになっていただき、ありがとうございました。よろしければ「スキ💓」をいただけると、記事作成の励みになります。
Photo:
※リンク先は外部サイトの場合があります
※リンク先は外部サイトの場合があります
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ