バルセロナのCL準決勝進出は夢物語か? マドリー勢と対照的、一時代の終えんも

選手層が薄く、戦力に乏しい

現在のバルセロナはトップレベルで戦える選手が少ない 【写真:Maurizio Borsari/アフロ】

 バルセロナが抱えているもう1つの大きな問題は、選手層の薄さだ。とりわけ先発メンバーの11人に匹敵するレベルの選手はマスチェラーノとアルダ・トゥランくらい、つまりわずか13人ほどしかトップレベルの選手がいないことになる。それは本気でビッグタイトルを狙うには、あまりに乏しい戦力である。

 マルク=アンドレ・テア・シュテーゲンもブッフォンやノイアー級のレベルにはない。才能は十分にあり、自らの役割を果たしてはいるものの、決定的なセーブによってチームに勝利をもたらすほどの活躍を見せるには至っていない。

 バルセロナが準決勝に勝ち進む可能性は極めて低い。再び奇跡が起こるだろうか――ユベントスが戦略を誤りでもしない限り難しいだろう。そしてこの試合はバルセロナに困難な変化を強いる、一時代の終えんを意味することになるかもしれない。それもリーガ・エスパニョーラのタイトル争いを左右するベルナベウでのエル・クラシコ(レアル・マドリー戦)を直前に控えたタイミングで。

試合後、あいさつを交わすメッシ(左)とディバラ。新たな時代への移行期の始まりを意味していたのか 【Getty Images】

 見る者を魅了し続けた後、徐々に輝きを失い始めたチームの天才プレーヤーから、ヨーロッパでの覇権奪回に燃える名門クラブに現れた新たなスター選手へ。メッシとディバラが試合後に交わした象徴的なあいさつも、新たな時代への移行期の始まりを意味していたように思える。

 だが準決勝に勝ち進んだとしても、ユベントスがヨーロッパのタイトルを勝ち取るためにはさらなる障害を乗り越える必要がある。その中には同じくスペインの、それも首都での戦いも含まれていることだろう。その2チーム、レアル・マドリーとアトレティコ・マドリーは4強入りに向け、現時点で非常に有利な立場にあるからだ。

(翻訳:工藤拓)

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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