「準決勝の勝因は基本に忠実な野球」 プエルトリコvs.オランダの試合後会見

永塚和志

タイブレークの延長11回にサヨナラ勝ちし、2大会連続の決勝進出を喜ぶプエルトリコ 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】

 第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)準決勝プエルトリコvs.オランダが20日(現地時間)、ロサンゼルスのドジャー・スタジアムで行われ、プエルトリコがタイブレーク制の延長11回、4対3とサヨナラ勝ち。2大会連続決勝へ進出した。試合後、プエルトリコからはロドリゲス監督、カルロス・コレア、エドウィン・ディアス、オランダからはミューレン監督が会見に出席し、試合を振り返った。

「若手の活躍に驚いている」

以下はロドリゲス監督の一問一答。

――この勝利で2大会連続の決勝進出となりましたが、4年前の準決勝では比較的楽に勝てたと思いますが、今日の試合の感想は?

 ここまでは最高の戦いをしてきたわけではないですし、すべての試合を見てきたわけではありませんが、素晴らしい試合であったことは間違いありません。両軍とも素晴らしい戦いをしました。今日は守備面とプレーへの実行力でわれわれが勝利を収められたと考えています。

 基本に忠実な試合をできたことがわれわれにとって非常に大きかった。今日の勝因はそこです。今日は3つか4つのダブルプレーを取りましたし、犠打もよく決めた。無死ないし1死で三塁に走者がいる場面では確実にバットにボールを当てることもできました。

 ということで、今大会は総じて相手を上回るパワーで勝ってきましたが、今日は非常に基本に忠実な野球で勝利したと言えます。

――捕手のヤディア・モリーナは8回に犠打を失敗していましたが、11回のタイブレークの場面で彼に再び犠打を命じました。その決断は難しかったですか?

 彼にそうさせること自体は難しいことではありませんでした。もちろんヤディアは大会を通じてそのバッティングでも素晴らしい活躍を見せてきましたが、今夜の相手の投手力も素晴らしかったですし、状況は違っていました。彼があの投手(ルーク・ファンミル)を打ち崩せそうなら、打たせることもできたと思いますが、あの場面では相手は素晴らしい投手でしたし、例え彼が5割、6割といった打率を残していたとしても相手が誰かを考えながら状況判断をしなければなりません。

――8回、あなたは安打で出塁したカルロス・ベルトランに代走を送りましたが、スコアはまだ3対3でした。その後も彼の打撃力が必要になると考えなかったですか?

 野球という競技は確率のスポーツです。パーセンテージのスポーツです。私がベルトランを下げ、(エンリケ・)ヘルナンデスを代走に送りましたが、それはあのイニングで勝負をつけようと考えたからです。リスクを取ったのかと言われれば答えはそうです。ただ、この競技はリスクの競技です。下す判断に白黒はつけられません。すべての判断が素晴らしいものであり、時に大事な判断を下さねばなりません。

 若手の活躍については私も驚いています。とりわけ攻撃面での活躍は素晴らしいですし、それはピッチングにおいても同様のことが言えます。私は、彼らが今夜「卒業」したと思いますね。つまり、決勝で戦うのにふさわしい選手たちになったということです。なぜなら彼らは野球という競技を忠実にプレーしたからです。

 非常に大事なダブルプレーを取りましたが、それらがゲームを左右したと言ってもいいです。例えばTJ・リベラによる3−6−3(ファースト、ショート、ファーストの順番で送球)のダブルプレー。それから、その後のハビアー・バエスによる2つのダブルプレー。まるでワールドシリーズクラスのプレーでした。それから彼らはベースランニングでも素晴らしい仕事をしました。というわけで今日はプレーを忠実に遂行した彼らには脱帽の気持ちです。

――2013年の決勝ではドミニカ共和国に敗れましたがそこから学んだこととは何でしょうか? あの経験がどれほどのモチベーションとなっていますか?

 あの敗戦から学んだことはあります。ただ、それよりも2013年の素晴らしい成功のほうがより多くのことを学びました。2013年、誰もわれわれが1次ラウンドを突破し、決勝へ進むとは考えもしませんでした。われわれにはタレントがいます。スタッフがいます。そしてなすべきことをしています。だからここまで来ることが出来ました。それが学んだことの最も大きなものです。

「豊富なタレントが自信の根源」

4併殺を奪うなど鉄壁のディフェンスが勝利へつながった 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】

――初回、モリーナの2つの大きな守備について話してください。あれがどれほど勝利に貢献しましたか?

 われわれもチームでそのことを話していたばかりなんです。初回にモリーナが走者を二塁で刺し、そして直後に走者を一塁でもアウトにしましたが、これには私も驚きました。あのプレーが私にとっては勝因だと言えるものでした。

――2013年に決勝へ進んだチームと今回のチームではどういった違いがあるでしょうか?

 2013年のチームはタレントに恵まれたチームでした。ただ今回のチームのタレントはさらに増えたと言えると思います。それによって、先発オーダーだけではなく、チーム全体により多くのオプションを与えることができるようになりました。そこは非常に大きな差です。

 ただし、プレーへの真摯さや熱意、情熱といったものは非常に似通っています。再び決勝戦へ進みますが、私たちはあいにく忘れっぽいもので、もう頭にあることは22日の決勝戦のみです。右腕のセス・ルーゴが先発しますが、ホセ・ベリオスもブルペンで待機しますし、他にも誰が投げられるか考えていきます。(今日登板した)エドウィン・ディアスは投げられません。

――大会開始の時点ではロサンゼルスで会いましょう、とおっしゃってましたが、それが実現しました。そのコメントをしたときの自信の度合いを教えてください。

 われわれには豊富なタレントがいることがわかっていましたから、それが自信の根源でした。若い選手たちは非常にハングリーです。モリーナやベルトランのようなベテラン勢も2013年の準優勝以上の成績を残そうと必死でやってきて、見事に期待に応えてきました。

 そして、ただプレーするだけでなく、落ち着いて、喜びと情熱を持って、叫び、飛び跳ねながらプレーしてきました。それでも集中力を持ってプレーしてきましたので、そういったことがわれわれの自信の源となりました。

――この試合の中でどれほど感情の起伏がありましたか? それと、試合のない明日の予定を教えてください。

 明日は幸せなことに試合がありません。われわれはここまで24時間、あるいは48時間、ずっと気を張ってきましたから、少しアドレナリンを下げなければいけません。ただ明日はそれでも球場へは来ます。明日は雨が降るようでフィールドにはカバーがかけられそうですから、打撃練習を中心とした軽めの調整となりそうです。あとはミーティングを開いて22日にどう戦うべきかの話し合いと分析をします。

――21日、準決勝で戦う日本とアメリカの簡単な印象を教えてくれますか? そして決勝戦前に1日分休みの多いあなた方のほうにアドバンテージがあるとお考えになりますか?

 アメリカと日本に関しては、2チームは全然違うチームではありますが、一方で似通ったチームでもあります。アメリカは打撃陣のパワーがすごいですし、投手陣も非常にいい。ブルペンも素晴らしいです。ですからさまざまな方法で勝利を収めることができます。パワーで圧倒することもできますし、ヒットエンドランなどもできますし、守備も固い。

 日本については、彼らはいつも準備が整ってますからWBCでもいつもいい試合をしてきました。非常に基本に忠実な試合をしますね。そして決して自滅をしない。彼らの相手が倒すしかありません。

 どちらと戦いたいかと言われれば、特にこちらのほうがいい、というのはありません。21日に勝ったチームと戦うだけです。試合はつぶさに見させてもらいます。どちらが勝とうと、決勝で戦うだけです。

次ページはエドウィン・ディアスとカルロス・コレアの一問一答。

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著者プロフィール

茨城県生まれ、北海道育ち。英字紙「ジャパンタイムズ」元記者で、プロ野球やバスケットボール等を担当。現在はフリーランスライターとして活動。日本シリーズやWBC、バスケットボール世界選手権、NFL・スーパーボウルなどの取材経験がある

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