「準決勝の勝因は基本に忠実な野球」 プエルトリコvs.オランダの試合後会見

永塚和志

コレア「野球で国をひとつにしたい」

2点ビハインドの初回に同点2ランを放ったコレア 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】

以下は延長10回から登板し、2イニング無失点で勝利投手となったエドウィン・ディアスと、「3番・サード」として初回に同点本塁打を放つなど2安打2打点の活躍だったカルロス・コレアのコメント。

――これまでこの大会では多くの登板回数をこなして今日も2イニングを投げましたが、登板回数に関する制限はなかったのですか?

ディアス 2イニング目に行くと決まったのは今日だ。最初は1イニングだけだと思っていたが、ベンチが「まだ行けるか」と聞いてきたので、「行ける」と答えた。まだ身体もフレッシュだと感じていたし、腕も大丈夫だった。問題はなかったよ。

――カルロス、ディアスがオランダのバレンティンに危険な球を投げたあと彼が少し興奮する場面がありました。その後あなたはエドウィン(ディアス)と話す姿を見たけど、どんな会話を交わしたのですか?

コレア 単に彼を落ち着かせようとしていただけさ。両軍ともちょっと興奮状態になったわけだしね。あれほどの接戦で彼にぶつけろなどと言うはずもない。ただわれわれが非常にエモーショナルだったことは間違いないよ。相手チームもダグアウトから出てきたわけだしね。だから僕としては(ディアスを)落ち着かせようとしただけだし、彼に自分の仕事に集中してもらおうとしただけなんだ。ああいうことはこの大会の中でも初めてのことではなかったし、彼もやるべきことはわかっていたよ。

――エドウィン、監督が言ってましたが、君は水曜日の決勝戦では投げないそうですね。そのことに関して所属のマリナーズと投げられるように話をする可能性などはあるのですか? そして君自身も水曜日に登板したいと考えてますか?

ディアス 僕としては水曜日も投げられると思ってるよ。球団にはこれが最後の試合だし投げられるように談判するつもりだ。明日は休みなわけだしね。チームも僕の扱いを良くしてくれているし、監督も僕の使い方をわかっている。

――カルロス、プエルトリコチームの今大会での強さを見せていることについてはどう思っているのですか?

コレア とても意味のあることだ。なぜならプエルトリコ人はここのところ非常に厳しい状況に置かれてきたから、われわれとしては野球を通じて国をひとつにできると考えている。みんなで金髪にしていることもその一環さ。野球と金髪で国を一つにすることができると思っている。WBCで活躍することで国をひとつにしたいと思っているし、そのためにベストを尽くしている。

――プエルトリコは非常に若いチームですが、ベルトランやモリーナ、アンヘル・パガンといったベテランの存在の大きさはどれほどのものですか?

ディアス チームが集合した1日目からパガンやJC・ロメロなどは僕たちの大きな助けになってくれた。彼らは長年のプレーで培った経験があるし、それがここまでは非常に助けになっている。今日の試合のような状況も彼らは過去に経験しているし、僕らはわからないことがあれば彼らに尋ね、彼らから学んでいるし、やがて僕らも後輩たちに同じように教えを施していくことになる。

ディアス「国に喜びを与えたい」

延長10回から登板したディアスは剛速球でオランダ打線を無失点に封じた 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】

――4年前は君たちはWBCをテレビで観戦していたと思います。そして4年経って、君たちもその舞台で決勝戦を戦います。これは夢のような感じでしょうか。メキシコやアメリカ、そして今日はオランダ。そういった敵を撃破してここまで来ました。どういう心境でしょうか?

ディアス すでに答えたように、自分は全力を尽くしてきた。国のためにすべてを捧げたいし、喜びを与えたいと思っている。国を代表して戦うことは名誉だし誇りだ。自分が若いころにWBCを見てきたけど、今はその一員なんだ。

コレア 本当に最高の気分だね。

――カルロスは2013年には17歳だったのではないでしょうか。でも今は夢を実現しようとしています。WBCで、しかも決勝を戦う心境を教えてください。

コレア 前回大会も出たかったけど若すぎたからね。今回は晴れてプエルトリコを代表し、そして言うまでもなくこの機会を喜んでいるよ。それも水曜日が最後となるね。

――2013年大会では準決勝で日本を破ってます。今回はアメリカにもすでに勝っています。プエルトリコとしてはどちらのチームと戦いたいですか?

コレア どちらがいいというのは特にないね。どちらが勝ち上がってこようと、それが僕らの相手になる。ただフィールドに出て全力を尽くすだけさ。日本としてはまずはアメリカを倒さねばならない。アメリカも素晴らしいチームだからね。明日は僕らも見るし、どちらが勝ち上がってくるか見させてもらうよ。でもどちらと戦っても関係ない。準備はできている。

――カルロス、君の今日の本塁打は441フィート(134メートル)で、打球速度は109マイル(175キロ)とキャリアでも最高の当たりだったのではないですか?
 
コレア 最高の当たりのひとつだっただろうね。もちろん準決勝という舞台で初回にああいった当たりを打てたことはチームにとって素晴らしいことだったし、自分個人にとっても最高だった。

――モリーナはワールドシリーズのリングを2つ持ってますし、おそらく将来の殿堂入りすると思われますが、彼にとって今日の試合の意義の大きさはどういうものだと思いますか?

コレア この大会でドミニカ共和国に勝利したとき、(モリーナは)クラブハウスで僕らにその勝利が彼がプレーした最高の試合だったと言ったんだ。その試合で彼は本塁打を放ったし、捕手としてもチームをけん引した。だから僕は彼が今大会、素晴らしい時間を過ごしていると思うよ。今日の試合も彼がプレーした最高の試合の一つだったのではないかな。ベテランとして若い選手たちを引っ張り、いろいろ教えながらの勝利だからね。ただ、一方で子供のように楽しんでもいたはずさ。僕が彼と一緒にプレーするのは今回が初めてだけど、僕にとっては素晴らしい経験をさせてもらっているよ。

――カルロス、今日の試合は感情の起伏の出た、まるでジェットコースターのようなものでした。実際にプレーしていた君としてはどう感じていたのでしょうか?

コレア 今日は、われわれがあまりに興奮状態になってしまってのでまずは落ち着きを取り戻さねばならないと思っていたよ。感情をうまくコントロールしてそれを勝利に生かさないといけないと考えていた。自分自身はあまり重圧などは感じていなかった。ただ三塁を守っていただけさ。打撃の際も重圧はなかった。深く息を吸い、自分のすべきことに集中しつつ、興奮しすぎないように制御していたよ。これは僕らがずっとやってきたことで、今日はその点でも良くできたと言えるね。

ディアス 僕も投球しているときに重圧はなかった。楽しもうとしていたし、マウンド上ではハッピーな気分だった。何が起こるかわからないけど、自分のベストを尽くしつつ楽しもうとしていたね。

次ページはオランダのヘンスリー・ミューレン監督の一問一答。

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著者プロフィール

茨城県生まれ、北海道育ち。英字紙「ジャパンタイムズ」元記者で、プロ野球やバスケットボール等を担当。現在はフリーランスライターとして活動。日本シリーズやWBC、バスケットボール世界選手権、NFL・スーパーボウルなどの取材経験がある

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