日本、米国戦へ“攻め”の姿勢を強調 決戦の地での前日練習では柵越え連発

永塚和志

先発の菅野は「球数制限は意識しない」

先発に指名された菅野。「本塁打を打たれるくらいならぶつけてもいいと思うぐらい」と攻めの投球を誓う 【写真は共同】

 小久保裕紀監督はアメリカ戦の先発投手に菅野智之を指名。その菅野は「前回の登板(3月14日のキューバ戦、先発で4回4失点)では個人的に不本意だった。リベンジする機会をもらいありがたい」と表情を引き締めた。あまり当たりの出ていなかった打者も打ち始めており、不安はあると率直に述べつつも「スコアラーを信じて抑える」と覚悟を決めた。

 青木が“攻め”の姿勢の大切さを説くように、投手陣の中心である菅野も「(95球の)球数制限は意識しない。本塁打を打たれるくらいならデッドボールをぶつけてもいいと思うくらい」の“攻め”の投球をすると誓った。

アメリカ先発は技巧派右腕

アメリカの先発は昨季16勝を挙げている技巧派右腕ロアーク 【写真は共同】

 アメリカも日本の後に練習を行ったが、本塁打性の当たりを何発も放つ日本とは違って、アメリカは打撃練習でもさほど力を入れずにミート中心のリラックスした状態でバットを振っていたのが対照的だった。

 アメリカの先発は昨年16勝の技巧派、タナー・ロアーク。小久保監督は同投手について「パワーピッチャーというよりもボールを動かしコーナーをついて打たせて取る印象」と話し、同投手が右腕だということで「打線のどこに左打者を置こうか」思案するという旨を述べた。

 一方のジム・リーランド監督をはじめとするアメリカの面々は日本チームの印象について「規律が取れ、基本に忠実なプレーに徹しミスをしない」と持ち上げたが、個人名についてはメジャーでプレイする青木を周知しているくらいで、ほかの選手はほとんど知らない様子。事前のスカウティングという点では日本にアドバンテージがあるように感じられた。

過去のWBCでは1勝1敗

 ただし唯一気になるのが、アメリカチームにはコーチとして加わっているウィリー・ランドルフの存在だ。同氏は2015年のプレミア12でマイナーリーグ選手を中心に組まれた同国代表監督を務め、侍ジャパンと対戦経験がある。同コーチは「(侍ジャパンの)多くの選手があの時のチームにいたし、もちろんその時から成長しているのだろうが、私が知る限りのことで助けにはなると思う」と話す。日本が他国と違いバントやエンドランを巧みに織り交ぜる”リトルボール”に長けており、アメリカが準決勝で勝利を収めるには日本がしてくるいかなるプレーにも対応できる準備が必要だと彼は付け加えた。

 日本とアメリカのWBCでの過去の対戦成績は1勝1敗。一発勝負のWBCは勝負の予想を立てるのが難しいが、大会前の不安を払拭しここまで予想外の全勝で来た日本か、接戦を制しつつ徐々に調子を上げ初の決勝進出を狙うアメリカか。侍ジャパンの今大会での挑戦も佳境に入る。

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著者プロフィール

茨城県生まれ、北海道育ち。英字紙「ジャパンタイムズ」元記者で、プロ野球やバスケットボール等を担当。現在はフリーランスライターとして活動。日本シリーズやWBC、バスケットボール世界選手権、NFL・スーパーボウルなどの取材経験がある

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