引退を決めたフランク・ランパード 寡黙な「史上最高のMF」に感じる“男気”
「元スリーライオンズ黄金世代」で異質な存在
現役引退を発表したランパード(写真は2013年) 【写真:Action Images/アフロ】
それが他でもない、このほどニューヨーク・シティーFCを退団して現役引退を発表したランパード、その人だとしたら? そのココロとは?
男気を絵に描いたような個性
ランパード(左)は寡黙で、常に行動で証明してきた(写真は2005年) 【Bongarts/Getty Images】
カラガーと、ベッカムと同じ41歳(2月18日に42歳になる)のギャリー・ネヴィルは、現役時代からそれぞれの所属クラブでも筆頭格の「口が立つ」スポークスマンとして有名だった。2人が現在、評論家として活躍しているゆえんでもある。また、ベッカムとジェラードはそれぞれ「キャプテン」として、オーウェンもそれに次ぐ存在として、雄弁に語る機会は多々あった。
ところが、ランパードが、私生活はもちろん、チェルシーや代表について、何らかの持論や感想などを述べたりしたどころか、メディアからそれを求められたりした記憶となると、まったくといっていいほど思い当たらない。あるいは、少なくともそれなりに騒がしい話題を提供したらしい節がない。
ブレークリー(左)と2人の娘 【写真:代表撮影/ロイター/アフロ】
それなのに、単なる憶測のうわさだけを頼りに何かとパパラッツィの標的にされてきたベッカムに比べて、ランパードの「二重恋愛スキャンダル」について、庶民やファンがことさらに騒いで眉をしかめたという話は聞かなかった。なぜなのか。
仔細は明らかにされていないが、筆者には思い当たることがある。それは、フランク・ジェイムズ・ランパードという、一個の人格が発散させる「男気」だ。表面的には矛盾しているようでも、2人の女性(と2人の娘)に対する硬派な愛情の責任の証しが、一連の言動に宿っていたことを、当時の人々が理解したからだと思う。
そして、それは「寡黙」で「すべからく行動で証明する」という、彼の本質的性向とも相通じるものがある。フランク・ランパードとは、男気を絵に描いたような個性なのだ。なるほど、彼のプレースタイルと実績を考えてみれば確かにうなずけるものがあるではないか。