世界基準を追求するバスケ男子日本代表 イラン戦でお披露目となる新たな方向性

永塚和志
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提供:スポナビライブ

パヴィチェヴィッチ暫定HCが指揮

イラン戦で男子日本代表の暫定HCとして指揮を執るパヴィチェヴィッチ(右) 【写真は共同】

 バスケットボール男子日本代表は2月10日と11日に札幌の北海道立総合体育センター(北海きたえーる)でイラン代表と対戦する。強化試合ではあるものの、2019年ワールドカップ(W杯)および20年東京五輪の出場権獲得へ向け、強化の時間の余裕がないチームにとっては貴重な機会となる。

 イラン戦の指揮を執るのはルカ・パヴィチェヴィッチ氏。長谷川健志前代表ヘッドコーチ(HC)が昨年11月に退任したため、日本バスケットボール協会(JBA)の技術委員会アドバイザーだったパヴィチェヴィッチ氏が暫定HCを担うこととなった。

 セルビア人のパヴィチェヴィッチ氏は、選手としては旧ユーゴスラビアリーグのユーゴプラスティカ、ポップ84(同一チーム、現スプリト/クロアチアリーグ)でガードとしてプレー。のちにNBAで活躍するトニー・クーコッチやディノ・ラジャらとともに、欧州最高峰の欧州チャンピオンズカップ(現ユーロリーグ)で1988−89年シーズンから3連覇を果たしている。また、3連覇目を達成した時は元男子日本代表HCのジェリコ・パヴリセヴィッチ氏がチームを率いていた。

 コーチとしてはセルビア、ギリシャ、ドイツ、フランスなどのプロリーグでHCを歴任し、セルビアではユニバーシアード代表を金メダルに導くなどの実績を残してきた。

 日本は5月か6月に行われる東アジア選手権で4位以内に入り、19年W杯への出場権のかかる8月のFIBAアジアカップ(開催地レバノン、今年からアジアカップへと名称変更)への切符を確実に手にすることが当面の目標となる。

アジア2番手のイラン

 イランは今月頭に終わったばかりの西アジア選手権で準優勝し、すでに今年のアジアカップへの出場権をつかんでいる。この大会で平均20.4点をマークしたスイングマン、モハマド・ジャムシディ・ジャファールアーバティなど西アジア選手権準優勝メンバー6名が来日するが、10代の選手が5人もいる陣容となっている。

 最近では15年のFIBAアジアカップの3位決定戦で63−68、翌16年のFIBAアジアチャレンジの予選リーグでは57−68で敗戦している。若手が多いとはいえ、日本の現在位置を探る上で、また東アジア選手権への準備という意味で、FIBAランキングでアジアで中国に次ぐ実力を誇るイラン(25位、日本は48位タイ)は良い相手だと言える。

 また、19年W杯の予選からはホーム&アウェー方式で行われることが決定しており、国内のシーズン中も代表戦を戦うこととなる。そのため、選手にはタフさや適切なフィジカルコンディショニングと同時に、リーグ戦と代表戦およびそれに付随する合宿参加などを繰り返すサイクルに慣れることも一層求められる。

新生日本代表に感じる期待感

千葉で好調をキープする富樫は、日本代表の中心選手としての活躍が期待される 【写真:アフロスポーツ】

 イラン戦へ向けて選出されたメンバーは富樫勇樹(千葉ジェッツ)や竹内公輔(栃木ブレックス)、竹内譲次(アルバルク東京)、金丸晃輔(シーホース三河)、アイラ・ブラウン(サンロッカーズ渋谷)といったBリーグのトップ選手と、張本天傑(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)、安藤誓哉(秋田ノーザンハピネッツ)、馬場雄大(筑波大)といったこれからの成長が期待される若手選手が融合した形となっている。

 この試合に向け60名以上の代表候補選手を集め、12月と1月に参加メンバーを分けて計4度の短期合宿を行った。この合宿では新たな戦術を取り入れるというよりもピック・アンド・ロールや1対1のディフェンス、トランジションディフェンスなど、攻守における基本的なプレーの精度と強度を高めることの意識付けという要素が強かった。

 シーズン中、しかも試合をこなして間もない週明けの合宿であっただけにフィジカルコンディションは万全ではなかった。それでもパヴィチェヴィッチ氏の仔細かつ厳格な指導で選手たちは得るものが多かったようだ。金丸はパヴィチェヴィッチ氏の指導について「ドライブしたあとの戻り方など細かく指摘されました。やってみてやりやすかったし、ボールが回るシステムだと思います」と語っているが、そのトーンには新体制の代表チームへの期待感がにじみ出ていた。

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著者プロフィール

茨城県生まれ、北海道育ち。英字紙「ジャパンタイムズ」元記者で、プロ野球やバスケットボール等を担当。現在はフリーランスライターとして活動。日本シリーズやWBC、バスケットボール世界選手権、NFL・スーパーボウルなどの取材経験がある

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