G大阪、新シーズンは「遠藤ファースト」 キーマンは両脇を固める今野と井手口

下薗昌記

今季は遠藤をアンカーに配置

新シーズンはダイヤモンド型の中盤で遠藤保仁がアンカーに入る 【(C)J.LEAGUE PHOTOS】

 過去8回のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)を戦っているガンバ大阪が、初めて出場した2月7日のACLプレーオフ。市立吹田サッカースタジアムで行われるG大阪の試合としては過去最少となる観衆8149人の前で、かつてのアジア王者はマレーシアのジョホール・ダルル・タクジムに3−0で快勝し、本選への切符をつかみ取った。

「まず本選に進めてホッとしています」と試合後の記者会見で安堵(あんど)の表情を浮かべた長谷川健太監督だが、その言葉は紛れもなく本音だろう。クラブの格と地力を考えれば、下馬評は圧倒的に有利な状況ではあったが「僕らが力は上かもしれないが、サッカーは何が起こるか分からないし、普通に戦って普通に勝てるようにしていきたい」(遠藤保仁)。今季もキャプテンを務める大黒柱の言葉通り、ガンバ大阪は90分を無難に乗り切った。

 ただ、今季最初の公式戦には、昨年までのG大阪になかった「普通でない」一面が随所で顔をのぞかせていた。就任5年目を迎えた長谷川監督が今季、本格導入を目指すのは遠藤をアンカーに配置するダイヤモンド型の中盤だ。

長谷川監督「ヤットが輝いてこそG大阪」

長谷川監督は遠藤を生かすためにシステム変更を決めた 【(C)J.LEAGUE PHOTOS】

 政界などで流行中の言葉を用いるならば、背番号7のアンカー起用は「遠藤ファースト(第一)」である。

「遠藤というすごい選手をどう生かしていくのか。ヤット(遠藤)が輝いてこそG大阪だと思うので、どういう形がいいか模索したいと思う」。天皇杯準々決勝で敗れ、無冠が決定した昨年12月末、指揮官は早くも来季に向けた構想を口にした。

 2013年の就任以来、初の無冠に終わり、ACLでも未勝利のままグループステージ敗退。「新スタ」元年に苦汁を舐め続けた昨季、長谷川監督はチーム内で最大の存在感を見せる遠藤保仁というパズルの置き所を試行錯誤していた。

 本職である2ボランチの一角では守備力に不安があることを露呈。リーグ戦の1stステージ中盤以降は、その戦術眼を生かすべくトップ下に配置。4−2−3−1を基本布陣に巻き返しを見せたG大阪ではあるものの、バイタルエリアで個の打開力を持たない遠藤のトップ下起用は、いわば苦肉の策だった。

 2ndステージ17節の川崎フロンターレ戦では2点のビハインドから一気呵成(かせい)の逆転勝利(3−2)。試合途中に遠藤をアンカーに配置した采配が奏功した格好だったが、「やっぱりビルドアップがスムーズになる。今野(泰幸)と(井手口)陽介だと守備面では非常にいいんだけれど、つなぎの部分に関してはヤットとは、一日の長どころかだいぶ差がある」と長谷川監督は振り返った。

戸惑いを見せる井手口、期待感を語る今野

新布陣のキーマンの1人が今野。新境地への期待感を口にする 【(C)J.LEAGUE PHOTOS】

 今年1月28日に37歳を迎えたチームの顔は、フィジカル面で下り坂に差し掛かっているものの依然、その戦術眼とキック精度はチーム一。遠藤を中盤の底に配置することで、より攻撃的なスタイルを模索する長谷川監督だが、そのリスクも重々承知である。

「ヤットの守備の危なさを両脇のMFでどれだけ軽減できるか。今野と陽介がいるからこそ、ああいう形に踏み切った」と指揮官が新布陣のキーマンに掲げたのは今野と井手口の2人である。

 ジョホール・ダルル・タクジム戦では新加入のファビオが、中盤を飛ばして最前線にボールを配給。かつての名センターバック山口智さながらのパスセンスを披露したり、三浦弦太も対角へのロングフィードで起点となるなど存在感を発揮。相手を押し込むサッカーを志向する上で不可欠な高いライン設定を保ち続けたが、新布陣の明暗を握るのはやはり、中盤の機能性に他ならない。

 守備力に関しては日本トップレベルの力を持つ今野と井手口であるが、新布陣で求められるのはインサイドハーフの役割だ。

「まだ頭で考えてしまっていて、自然に体が動いていない」と攻撃時の役割に戸惑いを見せる井手口とは対照的に、ジョホール・ダルル・タクジム戦で貴重な先制点を絶妙のピンポイントクロスでお膳立てしたのは今野だった。

「去年まではちょっと出し惜しみをしていた。もっと得点だったり、アシストだったりに絡まないといけないポジションで、自分も楽しみ。チャレンジしようと思っているのでワクワクしている」と今野は新境地への期待感を口にする。

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著者プロフィール

下薗昌記

1971年大阪市生まれ。師と仰ぐ名将テレ・サンターナ率いるブラジルの「芸術サッカー」に魅せられ、将来はブラジルサッカーに関わりたいと、大阪外国語大学外国語学部ポルトガル・ブラジル語学科に進学。朝日新聞記者を経て、2002年にブラジルに移住し、永住権を取得。南米各国で600試合以上を取材し、日テレG+では南米サッカー解説も担当する。ガンバ大阪の復活劇に密着した『ラストピース』(角川書店)は2015年のサッカー本大賞で大賞と読者賞に選ばれた。近著は『反骨心――ガンバ大阪の育成哲学――』(三栄書房)

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